【双语】結物語

录入在兴趣圈帖子一直在更,翻译还没有出

楼主 星期亿  发布于 2017-02-21 09:16:00 +0800 CST  
翻译 BID 八本松神大


002-1


据说出现了杀人魔,我本以为那应该是搜查一课之类他们的工作吧,不过好像所谓杀人魔的真相其实是怪异。

这是在直江津高中上学路上发生的事情。

对,就是那个直江津高中。

连续发生了放学中的高中生被从背后刺入利刃这样的事件——如果真是这样,恐怕会成为轰动全国的大事件吧,如今之所以没有发展为这样,是因为受害人的高中生们不但未曾目击到携带利刃的可疑人士,被刺穿的也只有校服,背上却没有任何伤痕。

“受害”的只有校服而已。

当然,倘若恶人确实存在,犯罪行为便很可能升级,无论如何也不能放任不管。但是要让步行中的人们——虽说是背后——不被察觉而只被刺穿校服这种事情,很难想象哪个恶人(哪怕是善人)能够做到。

只是一次两次还能当作奇迹,受害的高中生足有十多人——若是人类所为,怕也得是石川五右卫门级别的高手才行。

并非奇迹而是神技了。

不过若是人类所为当然是个大事件,若不是人类所为,那也是大事件。

到现在为止还只是作为谣言而已,但是上学路上要是出现了“杀人魔”,那可是会关系到学校存废的。

作为毕业生无法置之不理。

这件事情必须解决。

(翻译:于是九个毕业生站了出来立志成为偶像……)

不,我也不是如此热爱母校的学生啦……不如说,就读的大半时间里都对那所重点升学学校讨厌得不得了。

上学期间我一直在祈祷,如果有陨石要落在地球上,请务必落在这所学校——一想起当时那种浑浑噩噩的状态,让我再次觉得自己真是个没出息的高中生。

再怎么讨厌也不至于盼它被陨石砸吧。

真是,亏我能从那里毕业。

一边自认为对那些可以说是偏差值教育的被害者的讨厌的精英们施以着怜悯,一边过完高中生活的我,怎会想到五年后的自己竟然通过了国家考试,作为研修生回到这个讨厌的地方来……当时的我如果遇见了现在的我,肯定会把我痛殴一顿吧,

话虽如此,还是感觉以前的时光更加快乐啊…

回忆这东西还真是闪闪发光啊。

哈——

“干嘛发出这种得意洋洋的叹息啊?阿良良木警部补”

去往现场的途中,坐在巡逻车副驾驶上的前辈问道——驾驶座上的是我。不怎么讨厌开车的我被安排当司机时原本还挺高兴的(巡逻车!巡逻车哦!),由于兆间前辈坐在旁边时不时地吐槽(“转向灯开太慢了吧?”“走这条路近得多哦?”),却是高兴不起来。

跟偶尔说说的周防姐不同,这个人无一例外的每次都带上官阶叫我,“阿良良木警部补”——因为自己是警部嘛,通过这种方式,一次次地向我宣示上下级关系。

我看起来像那么臭屁的小鬼吗?

“我可不像周防妹妹那么好说话,会更加严厉锻炼你的哦。未来的课长大人,不,署长大人啊”

“我可未必能爬到那么高的位置啊。对我这种随便的家伙来说,精英之路太险峻了。到处都是悬崖和陷阱,一不留神就掉进去了”

“你当精英之路是酒池肉林吗?不过没事,你未来要是落马了,作为最底端的辟谣课会收留你的,不必担心。”

“我也没有那么想回本地工作啦……”

楼主 星期亿  发布于 2017-02-22 20:32:00 +0800 CST  
002-2

翻译 BID 八本松神大

不过,兆间前辈却不这么认为,说着“又在装恶人了,现在的年轻人真没办法”,对我复杂的烦恼不以为然——而且,兆间前辈总是爱摆出一副必要以上的前辈架子。

说是前辈架子好呢,还是说大人架子。

也许是为了以此来掩饰自己从中学生时代开始就没成长过的外表年龄。

既然如此,我要是在这里不识气氛,那才叫做不够成熟。

顺带一提,我在直江津警署的研修期间中,虽然负责教育我的(或者说被甩一身包袱的受害者)是人鱼周防全歌姐,但在这次的杀人魔事件中,则是特别地与兆间前辈组队了。

Combination。

除了有周防姐在别的事件上陷入苦战的因素,也有兆间前辈跟我一样是直江津高中的毕业生这个理由——虽然时间没有重合,但兆间前辈不仅作为直江津警署辟谣课的成员,作为直江津高中的学生来说,也是我的前辈。

我就愉快地接受她这副前辈架子吧。

于是,饱含敬意地,称她为兆间前辈。

老实说,一生中能够称为前辈的人也不多,偶尔也会觉得这样挺好。

“不过还挺有趣的。我还以为自己是直江津高中建校以来,第一个不死身的学生呢。”

“那就太自以为是了。即使不是不死身,就我知道的来说那个学校也曾出现过不少妖魔鬼怪哦。”

“是吗……”

就我知道的来说,也有好几个人就是了。

有这种频率的话,怪异恐怕也不是那么珍奇的存在——也难怪要急着设立辟谣课了。

“嘛,我与阿良良木警部补这样的例子也过于极端了,但大家不也都是带着各自不同的烦恼度过学生岁月的吗?没有任何问题悠然自得度过青春的高校生,这个世界上就不存在吧”

说得也对。

说得太对了我无言以对。

比如说战场原黑仪吧,三年中有两年以上,都是在“没有体重”的状态下修习着学业。

只是没有被我察觉,同样的学生可能或多或少也有一些……像是,让我体会到绝望的一年三班就有。

那家伙是否也如此呢。

究竟如何呢。

我的吸血鬼体质也对日常生活造成了这样那样的不协调,而肉体变为石头人偶这样的不协调,怕是我无法比拟的困难,而又不得不面对的事实吧。

兆间前辈度过的,究竟是怎样的高中生活呢。

“也没多困难哦?因为大家意外的都对别人的事情没多大兴趣——何况,从被卧烟小姐轻易发觉这点来看,我的伪装也不是那么完美”

“……你遇到过卧烟小姐吗?”

“没有。我记得大概是爷爷和奶奶的熟人的熟人的熟人……之类的关系吧”

嗯。

周防姐也说,与卧烟小姐没有见过面……因为她有个和蔼可亲的性格令我没这么想过,说不定那个幕后大佬意外的是个不大容易见到的人物。

老实说来其实我也没见过她几回——大部分时候都是通过斧乃木妹妹进行交流的。

“啊,难不成,兆间前辈祖父母的熟人的熟人的熟人的熟人这个范围内,有个叫手折正弦的人?是一位人偶使专家。”

“很遗憾我不认识他呢,是哪位?”

“卧烟小姐的直属后辈……是某个我认识的尸体人偶的主要制作者。”

还想撞个运气,不过看起来还是没有那么巧的巧合。倒也不是什么遗憾的事。毕竟在卧烟小姐那么广阔的人际网络里,手折正弦也是忍野咩咩、贝木泥舟那种级别的独行者,不会那么凑巧吧。

“无论如何,我能顺利就职也是多亏了她,这点我还是十分感谢卧烟小姐的。当今社会里,即便不是石人也没那么容易找到工作嘛。虽然不能说太多,至少在辟谣课设立这事上是相当努力。”

“……课长和兆间前辈都是本课的创始成员吗?”

“是啊。如今还剩下的就只有我们二人了——其他的创始成员们……都已经殉职了。”

“诶?!”

这是个那么危险的课吗?

对如此慌张的我,兆间前辈警告道“开车的时候不要失神”。
一脸得意地警告道。

“开玩笑啦。那些人在建立了辟谣课之后都各自被调到他处去了。埋下的种子越多越好嘛。课长是为了建立领导力,而我则是热爱家乡,二人便留在了直江津警署。”

调往他处……埋下的种子……也就是说去建立下一个“辟谣课”去了吗。

在我还在大学里为修学分累得半死的时候,幕后工作便已经有条不紊的进行着了吗——不,早在我进入直江津高中之前就开始了也说不定。

这么说来,与其说第一个辟谣课成立在直江津警署是因为是在我的出身地,也许说是选在了兆间前辈的出生地更为接近正解吧。

又或者理由不止一个吗……真是复杂。

真是让人愿意相信阴谋论的存在啊,这个世界的里侧。

亦是表侧、侧面。

话说回来,比起羽川翼现在在海外进行的活动,卧烟小姐的企图可以说是极度稳妥、健全了。

没什么好担心的。

这种事情,不是我这个级别的人该担心的东西,是吧,羽川小姐。

“怎么了?阿良良木警部补。马上就要到达现场了。沉浸在怀旧之情里是无所谓,比起过去还是请活在当下吧。为了未来。”

格言啊。

然而不管是我还是兆间前辈,都不得不去考虑“不会有未来”这件事。

楼主 星期亿  发布于 2017-02-23 19:49:00 +0800 CST  
003-1


录入 BID 零崎葱识

僕は高校時代自転車通学だったので、『通り魔』が出現するという、駅と学校とを最短距離で繋ぐその通学路をほとんど利用してはいなかった。厳密に言うと、所有していた二台の自転車は、両方とも三年生のときに再起不能にしてしまっているのだが、壊したあとは、まるでそれらの自転車を悼むかのように、頑なに、自転車用の通学路を徒歩で通学したものだ。

なかなか道は変えられない。

なので、到着したこちらの小路に、あまりぴんとは来なかった。

こんな感じだったっけなあ、と思う程度だ。

見通しがいいとは言い難いし、両脇は雑木林に挟まれているしで、正直、あまり好んで通りたい道ではないけれど……、直江津高校の生徒以外はほとんど利用しないんじゃないだろうか。人っ子ひとりどころか、犬一匹通らない。

「登下校時は、人いきれがするくらいにはにぎわうんでしょうけれどね。人いきれは大袈裟ですが、まあ、私が通っていたときはそうでした」

どうやら兆間先輩は電車派だったようで、そんなことを言う——いったいどういう理由なのだろうか、やや機嫌がよさそうである。

「阿良々木警部補はそう言いますが、これでも昔よりは、安全性や治安に配慮はされているようです。街灯の数も増えていますし、大通りとの接続部に、カブミラーも両サイドに設置されていますし。あはは、私はその角で、何度も自転車派に轢かれたものですよ」

あっけらかんと言うようなことではない。

自転車派としては心苦しい情報だった一一僕は、轢かれたことはあっても轢いたことはないけれど、しかし当時、二入乗りだったり何だりの、危険運転をしたことがまったくないとは言えない。

と言うか頻繁にしていた。

今は時代が厳しくなったというより、当時だって本当は駄目だったのだ。

「幸い、私は泥人形でしたからね。自転車に轢かれた程度では、痛くもかゆくもありません。飛行機に轢かれたって痛くもかゆくもありませんが。むしろ、痛い振り、怪我をした振りをするのが大変でしたよ一一大事にも大袈裟にもしたくありませんでしたけれど、まるっきりの無傷というのも、悪目立ちしますからねえ」

言いながら兆間先輩は、鞄から小さな水筒を取り出し、ぐびぐびとその中身を飲んだ一一お洒落な水筒だが、中身はただの水である。

ゴーレムなので、本来は飲食の必要もないそうだけれど、しかし、周防さんとは真逆で、兆間先輩には水分が欠かせないのだそうだ。特に、今日のようにピーカンの日は。

肌が、つまり泥が乾くと危険らしい。

不死身と言えど、決して不滅ではない。

「ぷはつ……。とは言え、私の現役時代には、『通り魔』なんて出現しませんでしたからね。自転車すら危険視されていませんでした一一治安がよくなったとで、これまで見過ごされてきたあれやこれやの問題点が、逆説的に浮上してきた感じなのでしようか?」

「そういうのはあるかもしれませんね……、リスク感知の闘値が下がったって言うか……、とかく、問題自体は昔からあるわけで……」

とは言え、やっぱり『通り魔』となると、話がでかい。

昔から頻繁に、高校生が後ろから切りつけられていたとは考えにくい。

少なくとも僕はそんな経験は一一まったくないとは言わないにせよ。

代表的なところでは、ホッチキスでロの中を綴じられたこととかあったからな......、あれも、今だったら大事件だぜ。

「うーん。阿良々木警部補の言うことには一定の理解を示しますが、しかし私の見解は、少し違います。こういうこと自体は、まるっきりなかったわけではないのです」

「そうなんですか?」

『通り魔』なんて出現しなかったというのが、兆間先輩の見解だったはずなのだが、前言撤回だろうか。僕は首を傾げたけれど、そういうことでもないようで、

「昔だったら、こういう現象は『かまいたち』として処理されていたんですよ」
と続けた。

「『かまいたち』? ほほう、聞いたことがありますね」

「風説課のメンバーが『かまいたち』を知らなかったらびっくりです」

「いや、まあ、そこは新参者ですから」

「『かまいたち』は三匹一組の妖怪ですよ。その名の通り、イタチなんです。両手がこう、鎌になっていて……、一匹目が転ばして、二匹目が切りつけて、三匹目がその傷口に薬を塗って治す一一聞いたことがあるでしょう? 」

「ん—」

正直に告白すると、たぶん聞いたことはなかったけれど、先輩から無知だと思われたくなかったので、正直に告白はせず僕は曖昧な返事をした一一曖昧な返事をした理由は、「なんだその奇妙な妖怪?」という、怪訝な気持ちもあったからだ。

「傷をつけて治すって……、そいつら、、何がしたいんですか? 一匹目の『転ばす』ってイタチ、必要ですか? いきなり切りつけたほうが成功率は高いんじゃ......」

「そういう無粋な突っ込みを入れる奴が、こういう優しい怪談を台無しにしてきたんですよ一一そして、『通り魔』なんて、危なっかしい怪談が、成立しつつある」

風説のうちに始末しないといけませんねえ一一と、兆間先輩。

僕が犯人みたいにされてしまったが……、おまわりさんなのに。

「でも、安全を重んじるあまり、不安要素をとことん排除しようって動きは、今風かもしれませんね。風と言うなら……」

「ええ。だから、昔だったら放っておかれた事件かもしれませんよね。切られたのはあくくまで制服で、生徒のお肌が傷つけられたというわけではないんですから」

「傷つけられてからじゃ遅いでしよう」

「ですね。いいことを言いました、阿良々木警部補。誰でもかでも、私や阿良々木警部補のように、痛みを感じないわけではありません」

僕は痛みは感じるのだが ……。

一度周防さんを交えて、不死身同士の細かな違いを、ディスカツションしたほうがいいのかもしれない……、思い込みで、とんでもないミスに繋がってしまいかねない。

さておき、検証だ。

僕は兆間先輩と並んで、とりあえず通学路を、行ったり来たり、往復してみる。

これと言つて変わったことはなかった。

雑木林からイタチが飛び出して来るとか、あるいは変質者が飛び出して来るとか、そういうことはなかった。

「雑木林って、何度も言っていると、まるで臓器林みたいに聞こえてきますよね」

「丁寧な言葉遣いでふわっとおぞましいことを言わないでください」

「私 、臓器がありませんから。心臓や肝臓が生えていたら、収穫してしまいますよ」

「おぞましさもこれ極まれりですね」


楼主 星期亿  发布于 2017-02-25 18:10:00 +0800 CST  
003-2

ゴーレムは疲れないし、吸血鬼の疲労はたちどころに回復するが、これは気分の問題だ。

「うーん。何かの勘違いってことはないんでしょうか? 僕自身、勘違いをしやすい奴だからそう思うんですけれど……」

「しかし切り裂かれた制服が、れっきとした証拠として残っているわけですよ? それも、ひとりやふたりでなく」

「そうですよね……、でも兆間先輩、気になることもあるんですよ。仮に、『かま いたち』にしても『通り魔』にしても、ともかく妖怪みたいな奴がいたとして、 高校生を後ろから切りつけたとするじゃないですか 」

「ずばっとね」

「 ええ、ずばっと。妖怪の姿は、例によって見えなかったとして一一でも、自分の着ている服が切りつけられて、本当に気付かないってことがあるでしようか? 被害者はみんな、『いつの間にか切られていた』って証言しているみたいですけれど………」

たとえ素肌に、刃物(?)が触れなかったとしても、それこそ、風圧みたいなものは感じるはずじゃないだろうか……、人間の肌は、敏感なセンサーとして働くはずである。

「ナチュラルに泥パックである泥肌の私には、何とも言えませんねえ。感じられるのは気温と湿度くらいのものですから。真夏なんて最悪ですよ。腕がもげちやったことがありますから」

「そんな壮絶なことになるんですか」

「 壮絶とまでは言いません。濡らせばひっつきますし。ばっちい話ですけれど、文字通り、唾をつけておけば治ります」

唾液は分泌されるのだろうか。

その辺りの不死身加減も、一度訊いてみたいところだ。

「話を戻しますが、どうでしようね。そりやあ、私の例とは逆に、真冬だったら、背中が露出されれば、寒気を感じるでしょうけれど、今はまだいい季節ですか らね。『いきなり制服が切られるわけがない』という安全神話の思い込みは、結構强力に働くのではないでしょうか」

「 確かに……」

僕が言っているのはただの理屈だ。現実はそんな割り切れるものじゃない。

まして、この場合相手取るのは、非現実的な噂なのだ。——非現実なら尚更割り切れまい。後ろから切られたのだといったん気付いてしまえば、その恐怖に、恐慌状態に陥るだろうし。

まともな判断は、土台不可能である。

「 確認させてください。『通り魔』の姿を見ていないのは、被害者だけでなく、その周囲の生徒もなんでしょうか? 周囲の生徒から見たら、いきなり制服が裂けたんでしょうか?」

「目撃者は、そういう意味ではいないみたいですよ。被害者はみんな、ひとりで下校しているところを、狙われたそうですから」

「ふむ」

ひとりで帰る生徒を狙ったとか、目撃されないように配慮したとか、そう聞くと、怪異現象というよりも、極めて人間的な犯罪というようにも思える——可能だろうか?

被害者に気付かれないようにこっそり近付き、肌を傷つけないように慎重に、しかし大胆に制服に切りつけて、そして被害者が振り向く前に立ち去るなんて——

雑木林に身を隠すことは、できなくもないだろうけれど、やっぱり、肌を傷つけないように制服を切るというのが難題である。

どんな刃物なら、そんな曲芸が可能なのだ。

少なくとも鎌じゃあ無理だろう。

「……あ。そうだ、妖刀なら……」

「妖刀?何ですか、それは?」

「そういうのがあったんですよ、昔——今もあるんでしょうけれど、ここ数年全然使ってないんで、さび付いているかもしれませんが。僕の影に住んでいる吸血鬼が振るっていた、怪異だけをぶった斬る大太刀です」

でも、あれは逆か。

服を斬らずに中身だけを斬ることはできても、服だけを斬ることはできないか——服自体が怪異だというならまだしも……、しかし、制服の怪異ってなんだよ。

「そう。着物みたいな怪異ってのも、いないじゃないんですけれどね。ところで、その吸血鬼を呼び出してはくれないんですか? 周防ちゃんとペアを組んでいスときは、彼女に——鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼に、現場検証を任せ。

「任せっきりにはしていませんが、ええ、まあ。でも、さすがに幼女に頼ってばかりもいられませんからね。こっちもいい大人ですし……」

適当に誤魔化す僕だった。

事実は、僕を、つまり『我があるじ様』を使い走りのように扱う兆間先輩のことを、忍があまり快く思っていないので、彼女の前では呼び出しにこくいという事情である。

それこそ周防さんとの活動時じゃないけれど、ひとりになったら、忍にお伺いを立てるのもやぶさかじゃない——ただ、『あなたは僕の相棒から嫌われているので、どこかに行ってください』とは言いにくい。

そのくらいなんとか都合がつかないのかと、我ながら思うが、とかく怪異は、身内であっても思い通りにならないのが常である——身内どころか、影の中なんだけれど。

「怪異現象であるにせよ、怪異現象でないにせよ、自然現象であるにせよ、不自然現象であるにせよ、超自然現象であるにせよ、私達が筋道を立てられなければ、捜査一課や生活安全課による本格的な捜査に移行することになるでしょうね。なにせ、被害者のいることですから」

「そうですね」

ただ、この場合の問題は、加害者がいるかどうかがわからないことだった。

加害者不在。

それもどこか、今風の風説である。

楼主 星期亿  发布于 2017-02-25 18:10:00 +0800 CST  
003-1


翻译 BID 八本松神大

由于我在高中时代是骑自行车上学,这条出现了“杀人魔”的,车站到学校最短距离的上学路我并不是很常走。严格来说,其实我所有的两辆自行车都在三年级的时候被破坏了,但在它们坏掉之后,彷佛是为了悼念那两辆自行车,我依然坚持徒步走着自行车用的上学路。

总是没法改变路线。

因此,来到这条小路时,我也对它没有多少印象。

原来是这样子的吗~也就这种程度。

视野也不是特别广阔,夹在两旁的杂树林里,老实说不是什么好走的路……除了直江津高中的学生以外没什么人会走这条路吧。岂止是荒无人烟,可以说是荒无狗烟了。

“上下学时的人潮应该还是十分拥挤的。说人山人海可能有些夸张,反正我当年的情况是这样的。”

看起来兆间前辈是乘电车那类人,说出了这样的话——也不知道是什么理由,她似乎心情很好。

“阿良良木警部补虽然这样说, 但比起从前,这条路上的治安管理还是周到多了。不但增加了路灯的数量,在与主干道连接的路口两旁还设置了曲面镜。啊哈哈,我当年可是在那路边被骑自行车的碾轧过好几回呢。”

若无其事地说出了不得了的话。

对骑车派的我来说可是令人愧疚的情报啊——虽说我只有被碾而无碾人的经历,不过当时骑车带人之类的危险行为倒也不能说没干。

不如说没少干。

与其说如今的规定变严厉了,即使在当时这些也是不该干的行为啊。

“还好,我是泥人偶。只是被自行车碾轧这种程度即不痛也不痒。不如说不得不假装疼痛和受伤这点比较难办——毕竟我既不想做得太夸张,也不能被人发现其实毫发无伤啊。”

兆间前辈说着,从包里取出水瓶,咕咚咕咚地喝了起来——虽然是很时髦的水瓶,里面装的也只是普通的水罢了。

作为石人,原本饮食都是不必要的,但是跟周防姐正相反,兆间前辈似乎特别乐意补充水分。尤其是今天这种干燥的日子。

肌肤,也即是泥土过于干燥会非常危险。

即使是不死之身,也决非不灭之身。

“噗哈……话虽如此,在我的现役高中生时代,还没出现过‘杀人魔’这类事件呢。连骑车穿行于此都没被视作危险行为——会不会正是因为治安有所改善,这些年来被忽视的各种问题反而如悖论一般逐渐浮现出来了?”

“说不定是这样呢……可能是人们防备风险的意识降低了,亦或,这些问题本身就是从前就有的……”

话虽如此,到了“杀人魔”这种级别,事情还是相当严重。

很难想象从前开始就频繁的出现高中生被从背后刺入利刃这种事情。

至少以我的经验来说是这样——虽然不敢说一次都没发生过。

最有代表性的就是被人用订书机钉入口中这种事就发生过……要是放到现在也算是个大事件了。

“嗯。阿良良木警部补所说我也能理解。不过我的见解稍微有所不同。这种事情本身并不是从未发生过的。

“是这样吗?”

明明是兆间前辈自己说的“杀人魔”从没出现过,现在是要撤回前言吗?我不禁洗耳恭听,然而也不是这么回事,

“若是在以前,这种事件会被作为‘镰鼬’现象来处理的。”她接着说道。

“‘镰鼬’?哦哦,我听说过”

“辟谣课的成员要是连‘镰鼬’都不知道我才会大吃一惊。”

“好吧,那个,我是新人嘛。”

“‘镰鼬’是三只一组的妖怪。如其名,就是鼬。两只手像这样,跟镰刀一样……第一只将人绊倒,第二只把人切开,第三只在伤口上涂药治疗——这些你听说过吧?”

“嗯——”

老实说来,我恐怕没听说过。为了不让前辈发现自己的无知,我没有老实承认而是支支吾吾敷衍过去了——除此之外,也是因为出于“这是什么奇特的妖怪啊?”这种将信将疑的心态。

“伤人之后又救人……它们到底想干嘛?第一只那个‘将人绊倒’的镰鼬有存在必要吗?一上来就切割成功率反而比较高吧?……”

“就是有这种不解风情的吐槽的家伙,糟蹋了这么一个温柔的怪谈故事啊——以至于之后渐渐演变成了‘杀人魔’这种危险的怪谈。”

趁它还作为谣言在风传的阶段可得赶快处理掉才行啊——兆间前辈如是说。

说得好像我成了犯人似的……明明是警察。

“不过,过于重视安全而把所谓的不安要素彻彻底底地排除掉,这样的做法可能才是当今之风吧。说到风的话……”

“是啊。所以这事要是放在以前可能也就放任不管了。被切掉的怎么说也只是校服而已,学生的皮肤并没有受伤。”

“真受伤时就晚了吧”

“是啊。说了句好话嘛,阿良良木警部补。一般人们可不像我和阿良良木警部补这样感觉不到疼痛。”

我可是有痛觉的……。

有必要叫上周防姐,就不同的不死身之间细节上的差别好好讨论一番才行……先入为主还真是容易造成不得了的误会。

暂且不说,开始调查。

我和兆间前辈一同,总之先把这条上学路来来往往走个几回再说。

没有什么值得一提的可疑之处。

杂树林中也没有跳出什么鼬类,或是跳出什么变态。

“杂树林说上好几次,听起来宛如内脏林一般呢”
(注:日语 雑木=臓器=zouki)

“请不要用优雅的遣词说出这种毛骨悚然的话来。”

“因为我没有内脏嘛。 要是地上能种出心脏肝脏之类的,我倒是想去收获一番呢。”

“您可以说是毛骨悚然的极致了”


楼主 星期亿  发布于 2017-02-26 22:33:00 +0800 CST  
003-2

翻译 BID 八本松神大

石人不会疲惫,吸血鬼的疲劳也是瞬间就能回复,但这是心情的问题。

“嗯。这件事会不会是在哪里产生了误区?我自身就是个容易产生误会的家伙所以会这样想……”

“可是被刺穿的校服就是坚实的证据啊?而且也不是只有一两个人这样。”

“说的是呢……不过兆间前辈,我也有件在意的事情。如果真有这么一种,镰鼬也好、杀人魔也好,这么一种妖怪从背后刺伤高中生的话。”

“干脆利落地。”

“对,干脆利落。就像调查所知的没人看到妖怪的身影——但是自己穿着的衣服被刺到了,真的会毫无察觉吗?所有受害人的证言都说,‘不知何时就被刺开了’……”

即使是皮肤没有触碰到利刃(?),会连一点风压之类的感觉都没有吗……人类的肌肤应该是非常敏感的才对。

“有着自然造就的泥土身体的我也回答不好这个问题。我能感觉到的也就是温度和湿度了。仲夏日最惨了,搞不好手腕就会掉下来。”

“会变得那么壮烈吗……”

“倒不敢说到壮烈的程度,浇点水就粘上去了。非常符合那句老话,字面意义上的‘抹点口水就治好了。’”

能分泌出唾液来吗……

像是这样的不死身细节,也得找机会问个明白。

“话说回来,究竟如何呢。以我为例的话,要是在冬天,露出后背应该能感觉到冷气,现在还是个温暖的季节啊。也有‘怎么可能突然被人划破校服’这种安全感的先入为主,恐怕没有那么明显的感觉吧。”

“确实……”

我所说的只是一般的理论。实际情况下并不是那么容易察觉到吧。

更何况,现在这种情况下,犯人是非现实的传说——非现实就更加察觉不了了。若是发现自己被人从背后刺伤,那种恐怖会让人陷入恐慌状态吧。

还能保持正常判断几乎是不可能的。

“让我确认一下。不曾见过‘杀人魔’的身影这事,不仅仅是受害人,周围的学生也是一样吗?对他们来说就是别人的校服突然之间裂开了吧?”

“这种意义上的目击者似乎没有哦。受害人都是独自一人在放学路上被攻击的。”

“嗯…”

故意瞄准独自回家的学生下手,以防被人目击,从这点来看,比起怪异现象,人类犯罪的可能性要高得多啊——这可能吗?

不被对方察觉到悄无声息地接近,不伤及肌肤、慎重而大胆地切开校服,并且在受害人回头之前完全消失——

藏进杂树林里倒不是不可能,果然还是不伤及肌肤而损伤校服这点才是难题。

怎样的利刃才能完成这样的杂技?

至少镰刀是不可能的吧。

“……啊,对了。如果是妖刀……”

“妖刀?那是什么?”

“以前我有这么一把刀的——当然现在还有啦,最近几年完全没有用过,说不定都生锈了。那把住在我的影子里的吸血鬼所用、只斩怪异的大太刀。”

不过,那把刀正相反。

可以不伤及衣服只斩身体、却无法只斩衣服——除非衣服本身是怪异的话……不过,怎么会有校服型的怪异。

“对了。像衣物一般的怪异,也不一定就没有。说起来,你能把那个吸血鬼叫出来吗?跟周防妹妹组队的时候,你就曾经让她——铁血的热血的冷血的吸血鬼来负责现场取证过吧。”

“也没有完全交给她啦,是,有过。不过也不能老是把活交给幼女去干啊。我好歹也是个成年人了。”

想随便地糊弄过去的我如此说道。

事实上,对于把我,也就是“吾之主人”当成下人肆意驱使的兆间前辈,忍恐怕没有什么好感,所以我也不太想在她的面前把忍叫出来。

当时也不是在跟周防姐一起活动,而是一个人的时候,叫出忍来询问一下倒也是个好办法——然而,“我的同伴讨厌你,请到一旁呆着去”这种话我也没法对兆间前辈说。

我也想过这种情况能不能让忍将就一下,但是怪异这种存在,即使是同伴也不会什么事都顺着你——何止是同伴,都伴到影子里去了。

“无论是不是怪异现象,亦或是自然现象、不自然现象、超自然现象,要是我们找不到线索,就只能移交搜查一课或是生活安全课进行动真格的搜查了。毕竟已经有受害人了。”

“说的是呢。”

不过,现在的问题是,是否有加害人这点却还不清楚。

加害者不在。

这倒也有点像当今之风的传言。

楼主 星期亿  发布于 2017-03-01 20:46:00 +0800 CST  
目前翻译(八本松神大)的话,原图原帖见兴趣圈帖

楼主 星期亿  发布于 2017-03-01 20:50:00 +0800 CST  
004

BID 零崎葱识


午间中いっぱいを、通学路の検証に使い切って(とりあえずの実験として、 木の棒を使って、兆間先輩とお互い後ろから斬りつけ合ったりしてみた。はたから見れば、いい大人がちゃんばらごっこをして遊んでいるみたいだっただろう——兆間先輩の見た目が中学生前後であることを思うと、僕が通報されていてもおかしくない姿だ。警部補なのに)、昼ご飯を食べてから(そこは先輩らしく、兆間先輩がおごってくれた——お店の人から、こんな小さな子にお金を払わしてという目で見られた)、僕と兆間先輩は、懐かしの母校を訪れることにした。

そういうアポイントメントを入れていたのだ。

ここは公的機関の強さである——自由人の忍野だって、詐欺師の貝木だって、なかなか日中の学校には這入れない。

昼休みに、被害を受けた高校生達から、(事情聴取というのは大袈裟だが)話を聞ける段取りになっていた。

もちろん、これだって簡単なことではなかっただろう——課長の才覚あってこそのスムーズな面会である。それに、この工程がスムーズに進むように、卒業生である僕と兆間先輩を派遣したというのもあるだろう。

だからスムーズでなかったのは、むしろこちらの気分のほうか。

漠然とやりにくかったのは。

正直、まさかこんな形で、母校を再訪することになろうとは思っていなかつた——と言うか、そもそも再訪するつもりなんてなかった。

四カ月の研修期間中、どうあれ一度は北白蛇神社を訪れようとは思っている僕だけれど、しかしながら、直江津高校を訪れようという気持ちは、特になかつた。

特に個人的な用もないし、知り合いがいるわけでも——いや。

厳密には知り合いはいるのだけれど、会いたいかと言われると……。

「堂々としてればいいじゃありませんか、阿良々木警部補。当時、お世話になった先生だっているでしょう? どうだ僕はキャリアになったんだぞと、自慢しておやりなさいよ」

「おやりなさいよって……、なんですかそのロ調。それが嫌なんですよ。当時、落ちこぼれだった僕が警察官になって、いい気になっていると思われることが。ぶいぶい言わせにきたと思われることが、どうだ見返してやったぞという気持ちがあるなんて勘違いされたら……」

「実際にそういう気持ちがあるから、後ろめたくなるんじゃないですか? 誰もあなたのことなんて気にしていませんよ」

そうなのだろうか。

まあ問題児気取りではあったけれど、それこそ、不死身の生徒同様に、僕くらいの問題児は、学校側にとっては、わんさかいるうちのひとりだったのかもしれない。

意外と憶えられてなかったりして。

実際、肩透かしなことに、校内を案内してくれた教師は僕が知らない人だったし、被害者の生徒達との対話も、つつがなく終了した——これは、兆間先輩の手腕と言える。

僕はもう、今時の高校生と話しても高くて分厚い壁を感じるくらいだったけれど、兆間先輩には、それがないようだった。

どうやら見た目の幼さを、壁を取っ払うのにに有効活用しているらしい……、コンプレックスに感じてもおかしくない特徴だろうに、なんともしたたかである。

僕は自分の小柄さを利用する気にはなれない。

周防さんは大人としての子供好きだったが、兆間先輩は、好き不好き以前に、子供とのコミュニケーションが得意らしい——怪異にかかわる人間に若年層が多いことを思えば、それもまた、風説課に必要な資質なのかもしれない。

少なくとも不死身性なんかよりは、よほど役に立つ。

そんな感じで、兆間先輩と被害者の高校生達は、雑談で盛り上がったりもしていたけれど、しかし仕事を忘れていたわけではないようで、昼休み終了の鐘が鳴るまでに、きっちりと全員から話を聞き終えていた。

男女にかかわらず、電話番号の交換まで済ませていたのもさすがだ。

「仕事用の携帯電話ですがね。私にも分別はつきますので、可愛い男の子達と、お友達になるつもりはありませんから、ご安心ください——阿良々木警部補も、女子高生と戯れようなんて思わないことです。時代ですから」

「お気遣いどうも。でも、この三十分でどっと老けましたよ。どうやら僕は、もう高校生と話す体力がないようです。心はいつも少年のつもりだったんですけれど」

「私の身体は、いつまでも少女ですけれどね。老けてみたいものです。さて、目新しい事実はありませんでしたが、逆に、今まで判明している事実を引っ繰り返す証言もありませんでした。それは収穫でしたね」

それを収穫と感じることは、今の僕には難しい……、仕事は徒労の積み重ねか。

「では、現場に戻るとしましようか、阿良々木警部補」

「あ……、兆間先輩。先に向かってもらっていいですか? あっちの校舎に、ちよっと寄りたい箇所があるんです」

校内に這入ってから、ずっと迷っていたのだけれど、いざ用が済んだ段になつて 、僕はそう言った——学び舎にパトカーで乗り付けるわけにはいかなかったので、通学路からは歩いてここに来た。だから、運転手はいらないはずだ。

けれど、刑事はいい勘をしている。

「さっさと出て行きたいんじゃなかったのですか? この高校にはいい思い出がひとつもないんでしょう?」

「そこまでは言っていません……、いい思い出だってあります。ええ、出て行きたいのは確かなんですけれど、でも、ここまで来てしまった以上、揆拶をしないわけにはいかない相手がいるんです。でないと、あとが怖くて」

「ふうん?……私用ってことですか?」

「私用ですね。ただ、ひよっとしたら何か、捜査に役立つ情報が得られるかもしれません——ミステリマニアですから」

ミステリマニアというか、本人が謎めいているのだ。

暗黒のようにミステリアス。

楼主 星期亿  发布于 2017-03-04 19:38:00 +0800 CST  
004

BID 八本松神大

午间我们在上学路上详细调查了一番(总之作为试验,我和兆间前辈用木棒试着互相背刺了一下。外人看来大概会以为是一个成年人童心未泯在玩击剑游戏吧——因为兆间前辈从外表上看是中学生模样,即使是我被报警举报了也不奇怪。明明是警部补),吃完午饭(这里由很有前辈范的兆间前辈请了客——在店家看来,一个大人居然让孩子掏钱请客),我与兆间前辈,来到了令人怀念的母校。

以公职人员的身份进入了母校。

这也是公立学校的优点所在——自由职业者的忍野也好、欺诈师的贝木也好,都没有那么容易在大白天的潜入这所学校。

我们打算在午休时间里从受害的高中生那里,(说是审讯未免太夸张了)询问一下事情的经过。

当然,这也不是十分容易的事情——有赖于课长的才能才有了这样顺利的会面。并且也是为了让调查顺畅的进行,才会派遣作为毕业生的我和兆间前辈来此吧。

所以要说到不顺畅的,反而是我们在这里的气氛。

既冷漠又难办。

老实说,我真没想到会以这种形式重访自己的母校——或者说,根本没有重访母校的打算。

在四个月的研修期内,我虽然有至少造访一次北白蛇神社的想法,却没有过什么来一趟直江津高中的心情。

既没有什么个人事务,也没有什么熟人——不。

严格来说熟人倒是有,要说想不想见的话……。

“坦然面对不就好了,阿良良木警部补啊。总有几个当时受过关照的老师在这里吧?去就自己找到了终身铁饭碗职业这件事好好夸耀一番,岂不美哉?”

“还岂不美哉……您那是什么语气啊。我讨厌的就是这个啊。当时那个落后生的我居然成为了警官,他们看了能有好心情吗。没准还会被当成我是故意来讽刺挖苦他们……”

“正是因为你有那样的心情,才会对此有所顾忌的不是吗?其实也不是谁都那么在意你啦。”

是这样吗。

确实我自觉自己曾经是个问题儿童,不过在学校看来,就跟不死身的学生一样,区区我这么个问题儿童可能也不过是万千之中的一个罢了。

意外地没人记得。

实际情况就是,在校内引导我们的教师就完全不认识我,与受害学生们的对话也是没聊几句就结束了——这样就到了兆间前辈大显身手的时候。

我已经跟如今的高中生产生了大大的代沟,而兆间前辈却完全感觉不到这点。

看来外表的年幼,对抹去年纪的代沟起到了很大的作用……明明是产生自卑也不奇怪的特点,却被她如此活用了。

我就没办法把自己的矮个子作为优势加以利用。

周防姐是作为大人很喜欢孩子,而兆间前辈,喜欢不喜欢先摆一边,与孩子交流这件事似乎非常擅长——考虑到与怪异事件产生关系的人群中年纪小的比例更高,这项技能也许也可以说是辟谣课的必要资质吧。

至少比是否是不死身这点更有价值。

就这样,兆间前辈与受害的高中生们谈笑风生,但也没有忘记工作目的,在午休结束之前成功地同全员都对话过了。

无论男女,都交换到了电话号码,真是厉害。

“给的是工作用的手机号码啦。我也是公私分明的人,不会做出勾搭可爱的男孩子来跟他交朋友这种事的,请放心吧——我也不怀疑阿良良木警部补会去找女高中生玩耍呀。时代不同了”

“多谢您的顾虑。不过,这三十分钟可把我累得老了好几岁。看来我已经没有跟高中生们对话的体力了啊…虽然一直怀有一颗少年心。”

“我的身体也一直都是少女身哦,我倒是想老也老不了。好了,也没获得什么新鲜的情报,反之也没有能把至今的事实推翻的证据。看来收获就是这些了。”

把这些称为收获,对现在的我来说真是困难……也就是说这些工作都是徒劳的吗。

“那么,我们回现场去吧,阿良良木警部补。”

“啊……兆间前辈。您可以先行一步吗?那边的教学楼里有个我想去看看的地方。”

进入校内以后我就一直抱有疑问,既然现在公事已毕,我就这样说了——因为不方便把巡逻车开进校园,我们是从上学路那边步行过来的。所以现在回去应该也不需要司机。

但是,警察的直觉真是厉害。

“你不是说想赶紧离开的吗?说在这所高中没留下半点美好回忆之类的。”

“我没说到那个地步……美好回忆还是有的。对,我确实是想离开的,不过,既然到了这里,好歹还是得跟那个人打声招呼。不然日后会很可怕的。”

“哦?……是你的私事吗?”

“是私事没错。不过,也许能获得什么派上用场的情报也说不定——因为那人是个推理狂。”

何止是推理狂,本人也是个谜团缠身的家伙。

黑暗一般的谜团。

楼主 星期亿  发布于 2017-03-04 19:38:00 +0800 CST  
我擦 突然11级了 ///
八本松先生(目前石人章翻译)(和我一样开始去)忙于三次元了,所以会非常不稳定哦。很多人也都看了结物语jpt版本了,日文在兴趣圈帖子更新快些,这里中日并行所以没有发。

qtmdjpt魔偶,我还是喜欢石人
以及,我投美留一票,叫认的那谁?

楼主 星期亿  发布于 2017-03-08 01:07:00 +0800 CST  
005

录入 BID 零崎葱识

そういうことなら私にも寄りたい場所がありますので好きにしてくださいなと、兆間先輩とは、そこから別行動を取った——驚くにはあたらない、彼女には彼女で、直江津高校のどこかに、『秘密の場所』があるのだろう。

いくらオープンな職場と言えど、不死身のゴーレムとしてこの学校で時を過ごした彼女が、果たしてどんな青春を送ったかを、僕が聞く機会はないだろうけれど——とりあえず、僕にとっての『秘密の場所』は、一年三組の教室だった。

ただし、実際の一年三組じゃなくて、存在しない一年三組である。

ないはずの扉を開けて、ありえない教室に、僕は這入る。

「やあ——阿良々木先輩。お見限りでしたね」

がらんとした教室の教卓に、本を読みながら腰かけていたのは、言うまでもなく忍野扇だった——僕が直江津高校の三年生だった頃、転校してきた一年生だったはずの彼女は、しかし、今もなお直江津高校の制服を着用して、今もなお、怪しげな笑みを浮かべていた。

あれからずっと、扇ちやんは高校生だったわけだ……。

僕から離れたのちは、しばらくは神原に寄り添っていたとのことだったが、しかし神原が卒業したのちは、とうとう高校そのものに居ついてしまったらしい。

実在しているのか非実在なのか。

忍野メメの姪っ子として、今は直江津高校の迷える生徒を、更に迷わせることを生業としているらしい——文字通りの学校の怪談として、七不思議をひとりで担当しているとのことだ。

どうあれスタート地点が僕なので、兆間先輩が知るよしもない扇ちゃんだけれど、もしも風説課がこの教室の存在(非存在)を捕捉したとしても、きっとどうにもならないことだろう。

無害認定さえ及ばない、学校のシンボルみたいになってしまった扇ちゃんをどうにかすることのできる専門家なんていないのだから——臥煙さんがそう判断したのだから、アンタッチャブルにもほどがある。

なので僕も、高校卒業後はほとんど放っておいたのだが、その間にわけのわからない成長を遂げてしまった——見た目は十五歳そこそこのままだが、その内実は、劇的な進化を果たしている。手に負えないくらい、終わってしまってる。

刑事の癖に自白すると、それが地元から足が遠のいた理由のひとつでもあつたけれど、しかし、ある種の生産者責任として、こうなると会いに来ないわけにはいかなかった。

「……何を読んでるの? 扇ちゃん。ミステリ? 密室もの?」

「いえいえ。活字でさえありませんよ。最近は私も、漫画を結構読んでいましてね」
言って、扇ちゃんは表紙を僕に見せた。

う、と思う。いきなりかまされた。

まるで僕が来ることを待ち構えていたかのような作者名だった——『千石撫子』。

「『なでこ』じゃなくて『なでしこ』と読むそうです。ペンネームですね。つくづく変な名前だとは思っていましたけれど、やっぱり本人も気にしていたんですかねえ」

「……デビュー三作目だっけ? すげえよな」

とりあえず、そんな当たり障りのないコメントを出す。

「あんまり売れてないらしいですけどね」

扇ちゃんは当たり障りのあるコメントを出した。

こういう子だ。

「でも、カルトな人気なんですよ。可愛いのに闇があるって。ああ、闇があると言っても、私はもう、あの子にちょっかいをかけてはいませんよ——闇は、あくまで千石ちゃんの闇です」

この作品は好きですがね、と、扇ちゃんは本を、そっと脇に置いた。

その丁寧な扱いかたから見て、虚言ではなさそうだ。

「大丈夫ですよ。千石ちゃんは中学校を卒業すると同時に、この町を離れていますから。道でばったり阿良々木先輩と遭遇して、ラブロマンスが再燃するなんて心配はありませんから」

「そんな心配はしていなかったけれど……」

していなかったかな。もうわからないや。

あのときだってわかっちゃいなかった。
(注:以下这句图源只扫到上半部,只能大致猜测{我能怎么办,我也很绝望啊})
「会け臥煙さくと撃がこてるくじせむかこたこけ? ろういう話む問いたとう

「ええ。阿良々木先輩と同じく——阿良々木警部補と同じく、漫画家として、臥煙さんにいいように使われているようですね。臥煙さんのプロジェクトは、そういったエンターテインメント方面からも、着々と組み立てられているわけです」

「相変わらず、扇ちゃんはなんでも知ってるね」

「私は何も知りませんよ。あなたが知っているんです——阿良々木警部補」

まっくらな瞳で僕を見やって、扇ちゃんはそう言った。

……そうだっけな。

「でも警部補はやめてくれ。扇ちゃんからはいつまでも、先輩と呼ばれたいもんだよ」

「そういうのは神原先輩の役回りですが、それがお望みとあらば、ご随意に。しいし、阿良々木先輩は風説課の刑事として、この高校に凱旋したのではありませんか? 千石撫子先生の近況を知りたいだけなら、連載誌の目次ページを読めばわかることですから。相談があるのなら、乗りますよ」

「相談って言うか……」

ここまで来て会わないわけにはいかなかったから、この幻想の一年三組を訪問しただけだったけれども、兆間先輩にああ言った手前、ここで捜査上の秘密を打ち明けないわけにはいかない。

ミステリマニアに捜査上の秘密を打ち明ける、ミステリ的展開だ。

扇ちゃん相手に秘密なんて、持ったら持つだけ無駄だしな。

「ええ、そうですね。今、直江津高校の通学路で起こっている『通り魔』事件については、私も心を痛めていますよ。私が現在、ちょっかいをかけている生徒も数名、切り裂きの被害に遭ってもいますもので」

……先程面談した子供達のうち、数名が扇ちゃんの毒牙にかかっているらしい。

そちらこそ『通り魔』とか『かまいたち』どころでは済まされない被害だか、しかし、そちらは手のつけようがない……、結局、扇ちゃんに絡まれたら最後、自分で何とかするしかないのだ。

僕が、神原が、そして千石がそうしたように。

「扇ちゃんの仕業ってわけじゃないんだね?」

「おやおや、私をお疑いでしたか? はっはー。信用がありませんねえ」
笑いごとじゃなく、そういう懸念もないではなかった——直江津高校の生徒が被害者という時点で。ただまあ、罪のない高校生に背後からいきなり切りつけるという暴力性は、あんまり扇ちゃんっほくはない……。

「罪のない高校生ねえ。いるんですかねえ、そんなの」

「ん? 何それ。どういう意味? 」

「いえいえ。深い意味はありますよ」

「 あるのかよ」

「大好きな阿良々木先輩にあらぬ疑いをかけられるのは心外ですので、ここはささやかなヒントを差し上げましょうか。阿良々木先輩のお役に立つのが私の生き甲斐ですからね——いえ、生き甲斐でしたからね」

過去形に言い直されると、ひしひしと痛感しちゃうな。

扇ちゃんはもう僕に縛られてはいないといいうことを——忍野扇と名乗りつつも、しかし彼女は忍野メメの姪っ子という立場でも、今やまったくないのだろう。

闇は育ち、闇は巣立っている。

そういう意味では、未だ僕の影に棲息している忍野忍よりも、よっぼど先に進んでいる。
停滞していない——彼女の生みの親である僕よりも。

「ヒントなの? 答はくれないの?」

「私がそんな親切な後輩に見えますか?」

「驚くほど見えないね」

「ならばその驚きが答です。しかしながら、私は阿良々木先輩の鏡ですから。阿良々木先輩とて、出来のいい後輩ではないでしよう」

「そりゃそうだ」

「ヒントはですね」

どうして『通り魔』は下校中の生徒の背中ばかりを狙うのかということですよ——と、扇ちゃんは言った。

その続きは僕が言った。

「——登校中を狙ったっていいはずなのに」

楼主 星期亿  发布于 2017-03-08 20:51:00 +0800 CST  
005

BID 八本松神大

“既然如此我自己也有想去的地方,那就各自随意吧”,兆间前辈这样说道,之后跟我分头行动了——也不是什么值得吃惊的,她在这所直江津高中,也会有什么“秘密基地”之类的地方吧。

再怎么开放的职场,她作为不死身的石人究竟在这所学校里度过了怎样的青春,这种事情我怕也是没机会得知的——总而言之,对我而言的“秘密基地”就是这里了,一年三班的教室。

不过,并不是真正的一年三班,而是那个不存在的一年三班。

打开本不存在的门,我走进了本不存在的教室。

“呀——阿良良木前辈。好久未曾光顾啊。”

在这空空的教室里,坐在书桌上读着书的,无需多言自然是忍野扇——在我还是直江津高中三年生的时候,转学来此的一年级女生,然而,如今她依然身穿直江津高中的校服,露出那诡异的笑容。

在那之后这么久了,小扇依然还是高中生。

在离开我之后,有一段时间她一直依附在神原身边,但现在神原也毕业了,她似乎干脆依附于学校本身了。

是真实存在之物,亦或不是。

作为忍野咩咩的侄女,如今的她似乎是以让直江津高中里心怀困惑的学生,变得更加困惑为生的——字面意义上的学校怪谈,七大不思议之一。

不管怎样此事源自于我,兆间前辈自然不知道小扇的存在,即使被辟谣课获知了这间教室的存在(非存在),一点也是无能为力的。

都不需要进行无害认定,面对已经成为了学校象征一般的小扇,各路专家们也对其束手无策了——卧烟小姐做出了如此的判断,真是令人捉摸不透。

因此我在高中毕业后对她也基本放任不管,在此期间她倒是取得了不可思议的成长——虽然外表仍然是15岁的样子,内在却已然有了剧烈的进化。终于成为如今这般超出控制的存在。

老实坦白,这也是我远离家乡的理由之一,不过作为某种意义上的“罪魁祸首”,既然到了这里也不能不来见她一面。

“……在看什么呢,小扇?推理小说?密室类的?”

“不不,连文章都不是哦。最近的我,漫画看得比较多呢。”
说着,小扇给我看了封面。

原来如此,上来就给我一个杀威棒。

简直就是早就知道我会来而准备好了的作者名——“千石抚子”。

“似乎不是‘NADEKO’,而是读作‘NADESHIKO’的样子。是笔名吧。一直觉得她名字很奇怪,看来本人也有些在意呢。”
(翻译:应该是指“抚子”二字通常读作NADESHIKO,读作NADEKO的很少见,所以千石把原名改了读音当笔名)

“出道第三作了?真厉害啊。”

总之先说一句无关痛痒的评论。

“卖得不怎么样就是了。”

小扇来了一句有关痛痒的评价。

她就是这样的孩子。

“不过,在小圈子(cult)里相当有人气哦。既有可爱又有黑暗。啊,虽说有黑暗,但我已经没再去戏弄那孩子了哦——黑暗,也只是千石妹妹自己的黑暗罢了。”

这部作品我挺喜欢的。说着,小扇把书轻轻放在一旁。

从这温和的对待来看,似乎所言不虚。

“没事的。千石妹妹中学毕业的同时就离开这个城市了。不用担心她跟阿良良木前辈在路旁偶遇,重燃恋爱罗曼史了。”

“我倒没有那种担心……”

真的没有过吗?我也搞不清楚了。

那个时候我也是没搞清楚。

(注:此处因为图源问题,又缺失一句……知道的就只有垃圾说了一句跟卧烟有关的话。)

“是的。跟阿良良木前辈一样——跟阿良良木警部补一样,她也作为漫画家,任凭卧烟小姐摆布呢。卧烟小姐的计划,即使在这种娱乐业方面也有好好地布局。”

“跟以前一样,小扇还是什么都知道啊。”

“我什么都不知道哦。只是你知道而已——阿良良木警部补。”

用那双深邃的眼睛盯着我,小扇这样说道。

……也对。

“不过警部补就算了吧。我还是希望小扇能一直都叫我前辈啊。”

“这应该是神原前辈的任务才对,不过既然你希望,那就这样吧。不过,阿良良木前辈作为辟谣课的警察,来这所高中不正是衣锦还乡吗?要是想了解千石抚子老师的近况,看看杂志的目录页就知道了。要是想跟我聊天,倒是可以奉陪。”

“与其说是聊天……”

因为到了这里不得不来见她一面,所以我才来了这个幻想中的一年三班,那边才跟兆间前辈说了那样的话,这时也没法不把搜查上的秘密和盘托出了。

向热爱谜团的推理狂公开搜查上的秘密,真是谜之发展。

话说回来,在小扇面前也没有什么秘密可言倒是。

“嗯嗯,确实如此。最近在直江津高中上学路上发生的‘杀人魔’事件,我对此倍感痛心。因为也有几名我正在戏弄的学生受到其害了。”

……似乎之前面谈过的孩子中间,就有几名已经落入小扇的毒手了。

可能这边才是比‘杀人魔’或是‘镰鼬’更严重的受害,可是,对此我却无法插手……说到底,被小扇盯上的人,最后也只能凭自己做些什么来摆脱。

就像我、神原、以及千石曾经那样。

“所以不是小扇搞的鬼喽?”

“哎呀,您还怀疑过我吗?哈哈—。真是不被信任呢。”
不是什么好笑的地方,我当然是有过这样的念头——在听到直江津高中的学生是受害人那时候。不过,无缘无故从背后刺伤无辜的高中生这样的暴力行为,确实不像小扇的作风……。

“无辜的高中生啊。会有那样的人吗?”

“嗯?什么意思?”

“不不,没有不含什么深刻的意思哦。”

“那不就是有嘛”

“受到超喜欢的阿良良木前辈的无端猜疑令我非常伤心,所以在此只给你一点小小的提示好了。能为阿良良木前辈派上用场就是我的生存价值嘛——不,曾·是·我的生存价值嘛。”

特地改成过去式,让我感到一阵刺痛。

提醒了我小扇如今已经不再被我束缚了——虽然依旧以忍野扇为名,但她作为忍野咩咩侄女这个立场,如今已经完全没有了吧。

培育着黑暗,为黑暗筑巢。

从这个意义上说,比起至今仍然栖息在我影子里的忍野忍,反而是她更进一步。
没有裹足不前——跟我这个孕育之主不同。

“只有提示?不能告诉我答案吗?”

“我看起来像那么亲切的后辈吗?”

“一点儿也不像。”

“这就对了。话说回来,我可是阿良良木前辈的镜像。前辈自己也不是什么能干的后辈呀。”

“说的也是。”

“告诉你提示吧。”

为什么‘杀人魔’盯上的都是放学中的学生呢——小扇说道。

我接着说完了下半句。

“——上学途中难道不能做吗”

楼主 星期亿  发布于 2017-03-08 20:59:00 +0800 CST  
006-1
BID 零崎葱识
「ふうん。確かに、そりゃあそうですね。行きにも帰りにも使用される通学路なのですから——被害が下校時のみに集中していることには、やや違和感があります」

なかなか鋭いご学友をお持ちで、と、現場で合流した兆間先輩に褒められた。

ご学友ではちっともないし、だからなんだと言われたら、まるで返す言葉のないヒントであり、謎を更に謎めかしただけとも言える扇ちゃんらしさではあつたけれど。

兆間先輩は、特に僕の『ご学友』の正体については追及せず、「私は職員室に寄ってきました」と言った。

兆間先輩の『秘密の場所』は職員室か。

確かに、そこには僕は同行できない。

ありし日の素行の悪さが後ろめた過ぎる。

「ええ。そちらはアポなしの飛び込みですけれどね。現場判断という奴です。当時の先生もいましたので、雑談に花を咲かせてきました。『お前は変わらないなあ』なんて言われましたよ。当たり前なんですけれどね」

「……興味本位の質問になりますけれど、兆間先輩、今はともかく、将来的にはどうするんです? 八十歳のお婆ちゃんになってもベビーフェイスというわけにはいかないでしよう?」

「デリカシーのない質問ですね」

それを言うなら阿良々木警部補もでしょうと指摘されたが、僕の不死身は厳密に言えば、不老不死のなり損ないなので、いい意味でも悪い意味でも、経年変化は避けられないはずだ。

しかし、泥入形となるとわけが違う。

土偶なんて、何千年もそのまま残っちゃうわけだろう?

「そのときはまあ、化粧で誤魔化すしかないでしょうね。若作りの逆です……、お肌に皺感を出したりね」

「臥煙さんに頼んで、新しい入形に魂を移してもらうってわけにはいかないんですか?」

「手折さんとやらですか? それができれば苦労はしません。おじいちゃんとおばあちゃんが、孫を現世にとどめるために使ったのは、ほぼ禁呪ですからね」

「禁呪」

「金のなる樹ではありませんよ。禁じられた呪いです——強力ですが、それゆえに応用が利かないんですよ。まあ、それも十年ニ十年後には、解く方法が発見されるかもしれませんので、気長に待ちます。幸いなことに、不死身ですし」

まるで、新薬の開発を待つ難病患者みたいなことを言っているけれど、まあ、元々兆間先輩は大病を患って天折したわけだし、心境としては、似たようなものなのだろう。

余計なことを訊いた。仕事に戻ろう。

「それで、兆間先輩。職員室での収穫はありましたか?」

「進捗はよろしくありませんね。『通り魔』事件の真相を探ろうとするよりも、そんな騒動を隠蔽しようとする傾向が見られました——私立の進学校ですから、心中はお察ししますけれど、事件解決に向けては、後ずさりです」

「直江津高校のその辺の体質は、今も昔も変わらないんですね」

もっとも僕のケースにおいては、それがいいように作用したことのほうが多いので、なんとも言えない……、在学中、夜の学校でどれだけ暴れ回ったことか。

忘れていたけれど、屋上に忍び込んだりしたこともあったな。

ただ、そういう閉鎖的な環境が、不登校の生徒を生んだりしていたことも事実である。簡単に解決できる問題ではないのだろうけれど、いつかはどうにかなって欲しいところだ。

「そうですね。とは言え、さしあたり私達は、私達の抱える案件を解決しましょう——こうなると、現行犯での逮捕を目論むしかなさそうです」

怪異だとしたら逮捕はできませんが、『かまいたち』でしたら尻尾をつかめることでしよう——と、兆間先輩。

「ちょうど、もうすぐ下校時間ですからね。ここで見張って、生徒の背中が切りつけられるところを目撃しましょう——目撃者がいないのなら、目撃者になればいいんです」

アクティブな姿勢だ。

しかし、子供が切りつけられるところを、横から眺めるというのは同意しかねる——囮捜査の一歩手前だ。青臭いことを言うようだけれど、できれば犯行{后面没扫全}け未然に**ざたい。

「それは私もそう思いますけれど、でも、現実的には、被害者は傷ーつ負わないわけですからね。むろん、制服の弁償くらいはさせてもらいますが、狙われる高校生はほぼノーリスクですよ」

ううむ、と唸ってしまう。

そりやあそうなんだけれど、万がーのことを思うと、やっぱり躊躇する。張り込み捜査とは、これまた刑事っぽい行為ではあるが、高校生が襲われるのをただ見てるだけとは……。

「しっかりしてください。その『見てるだけ』だって、実際には難易度が高いんですから」 僕を鼓舞するように、兆間先輩はぱん! と手を鳴らした。

「周防さんと担当していた川のときとは違って、この場合は、観測者効果が働く可能性が大です。私達が、どれだけ巧みに雑木林に隠れたとしても、その視線を感じ取れば、『通り魔』は現れないかもしれませんよ」


楼主 星期亿  发布于 2017-03-12 20:26:00 +0800 CST  
006-1
翻译 BID 八本松神大
“嗯。确实,说的也是。上学也好放学也好走的都是这段路——而事件却只集中在放学时间,的确有些不对劲。”

你还真是有个敏锐的校友,到现场会和后的兆间前辈这样表扬了我。

完全不是什么校友,但要问我那她是谁,也让我回答不出来,给出这样一个提示,让谜团变得更加扑朔迷离,还真是小扇的作风。

兆间前辈也没有多问我的那位“校友”究竟是何人,并且说了“我那之后去了职员办公室”。

兆间前辈的“秘密基地”是办公室吗。

确实,那地方我是没办法同行的。

曾几何时的那次恶劣行为带来的罪恶感过于深刻。

“是啊,没有预约就擅自跑到那里去了,这就是所谓的临场判断吧。也遇到了以前的老师,跟他闲聊了一会儿。对方还说‘你还真是没啥改变呢’。这不是当然的嘛。”

“……只是出于个人兴趣想问一句,兆间前辈无论现在如何,将来您打算怎么办?总不能变成八十岁的老婆婆了还是这张娃娃脸吧?”

“真是个不解风情的提问”

她还指出“要这么说阿良良木警部补不也一样吗”,不过我的不死身严格来说只能算是半吊子的不老不死,说是优点也罢缺点也罢,相貌随年纪变化这点是无法避免的。

但是,泥人偶就不一样了。

泥人这种东西,过个几千年都能维持原样的吧?

“真到那个时候,就只能靠化妆糊弄过去了。与‘装年轻’正相反……把皱纹化出来之类的吧。”

“不能拜托一下卧烟小姐,把灵魂转移到新的人偶里去吗?”

“你之前是说个一个叫手折的人是吗?要是能做到早就做了。我的爷爷奶奶为了让孙女留在世间,使用的手段几乎相当于禁咒了。”

“禁咒”

“不是禁不住想咒你,而是禁忌的咒文——虽然强力,却也因此难以控制。嘛,也许再过个十年二十年就能发现解决办法了,安心地等着就好了。幸运的是,我是不死身嘛。”

简直像是等待新药开发的绝症患者一样的说辞。不过,兆间前辈原本就是因为患上重病而早逝的,从心境上说也许还真像是这样。

问了个多余的问题。还是回到工作上吧。

“那么,兆间前辈。您在办公室那边有什么收获吗?”

“没有什么进展呢。比起去探寻‘杀人魔’事件的真相,他们更希望尽早压下这件事引起的骚动——毕竟是私立的升学重点高中,也不是不能理解他们的心情,但这对事件的解决而言显然是起反面作用的。”

“直江津高中这方面的作风,现在跟以前也没啥改变啊。”

话虽如此,与我有关的事件里,这种作风更多情况下对我来说起的是积极作用,也不好说什么……上学期间,我在夜晚的校园里都不知道乱来过多少回了。

差点忘记了,偷偷爬上屋顶这种事情也干过来着。

不过这种封闭的环境,孕育出不少不来上学的学生这事也是事实。可能不是三言两语就能解决的问题,但我还是希望有朝一日这学校能做些什么啊。

“说的是呢。不管怎样,我们还是得自己去解决我们负责的案件——到了这一步,看来只有逮捕现行犯这一种办法了。”

如果是怪异就没法逮捕了,如果是‘镰鼬’的话倒是可以抓住它的尾巴——兆间前辈如是说。

“正好,马上就到放学时间了。我们就在这里巡逻,以期成功目击到刺穿学生后背的事件吧——既然没有目击者,只好自己成为目击者了。”

很有干劲的样子。

不过,小孩被利刃袭击而我们只在一旁袖手旁观让我很难同意——可以算是钓鱼执法了。虽说可能是个幼稚的想法,我还是希望能在犯罪开始之前阻止它。

“我当然也这么希望了,不过,现实点来说,总是不能让受害人毫发无伤的。当然,之后会赔偿他校服,被盯上的高中生基本上是零风险的哦。”

嗯嗯,我回应道。

话虽如此,但事有万一,我果然还是有些顾虑。监视搜查倒是很像警察的行为,但是要眼睁睁看着高中生被袭击还真是……。

“振作一点。‘眼睁睁看着’这点都还很难做到呢。”为了给我鼓劲,兆间前辈“啪!”地拍了拍手。

“跟周防负责的河边那次不同,如今这种情况下,触发观察者效果的可能性是很大的。无论我们在这杂树林中藏得多么隐秘,一旦被对方察觉到视线,‘杀人魔’便很可能不会现身哦。”

楼主 星期亿  发布于 2017-03-12 20:27:00 +0800 CST  
006-2

翻译 BID 八本松神大

观察者效果。

是说观察这一行为本身,就会给观察对象施加影响吗……在验证超能力之类的地方也适用的概念。

若是以‘让我揭穿你的真面目’这种挑刺的心态去占卜,便不会成功之类的……虽然不是“信者得救”,也是一种拿来解释超自然现象的好理由,多少有点真实性吧。

非但不是新药,而是古早就有的老方。

也就是所谓的安慰剂效果。

“对。虽说我们俩的情况,怪异的存在、或者说非存在是不容置疑的——话又说回来,如果‘没有被目击’这点就是‘杀人魔’的发动条件的话,也就能够解释为什么受害高中生们全都是被从背后袭击的了,虽然有点牵强。”

“确实”

并非没有目击者的怪异现象,而是没有目击者才会发生的怪异现象……如果是这样,我们现在的埋伏调查也许会起到反效果。

不,如果因为我们的监视而使“杀人魔”事件得到阻止,这也算是一种效果的吧?

“开玩笑。我们还能永远在这条上学路上看着不成?辟谣课的任务是对还在留言阶段的怪谈刨根问底解决掉,你把把这‘根’悉心呵护养成大树是要怎样”

养根为树这种说法虽然诡异,道理倒是很对。

只看眼前的事物,这是我以前就有的坏习惯了。

真正该看到的是事情的背后,所谓背后关系。

“那,该怎么做?虽说是要不被察觉偷偷监视,但是这里只有这片杂树林,不太好藏吧……”

何况即便真的找到了唯一的死角藏起来,从那里来的视线恐怕也是最容易被察觉的。

再说,如果我们能够看到犯人,也就意味着我们也在犯人的视线范围内。

所谓“窥伺深渊之时,深渊也在看着你”

之类的?

“既然没有死角那就创造一个死角吧。阿良良木警部补,咱俩不是最会死了吗?”

看来兆间前辈是很喜欢按“没有什么就成为什么”,“没有什么就创造什么”这种思路想问题。真是个找遍我的人格也看不到的,超积极的想象力。

这恐怕也是“如果没有想象力,就发挥你的想象力”吧。

“不在此时活用不死之力更待何时?阿良良木警部补”

“可以的话我是想何时都不用发挥什么不死之力啊……诶,兆间前辈,这话是什么意思?”

我们俩是‘死’的专家这一前提,和‘杀人魔’不能被目击这两件事,看不到有什么联系啊。

这个石人偶到底在说的什么?

“真是迟钝。所以说——是这样的。阿良良木警部补就利用一下设置在那里的曲面镜好了。”

“啥?”

“就是叫你离开这里,通过那面镜子来观察这条上学路啊。以吸血鬼的视力,这种程度很容易吧?”

啊——是这样吗。

通过镜子来监视是个非常艰难的人任务,不过由于我肉体里残存的吸血鬼后遗症,确实能够做到这点。

再说,通过镜子来目击那些看不见身影、看不得身影的怪异这点,也是神话时代留下的传统了。

像是著名的美杜莎就是如此。

那是用镜子来消灭她的故事来着?

这么说来,小扇当时故作炫耀地读着千石抚子老师的漫画,没准就是为这里埋的伏笔——不对,果然还是为了讽刺我吧。

小扇就爱干这种似是而非的事情。

“是的。而且吸血鬼还不会出现在镜子里。你能看见他,他却看不见你。”

兆间前辈一脸得意地,说出了这个计划的核心。不过很抱歉,对此我不得不提出反对意见。

“对不起,我是那种会出现在镜子里的吸血鬼……”

“什么?这点小事请用毅力克服一下。”

毅力哪能管这事啊!

当年发现自己无法出现在镜子里还把我吓得不轻……真没想到五年之后,我反而得为此努力了,这算什么事。

不过也好,万一真的能办到,不仅对这次的案件,今后的研修期里一定也能派上不少用场——虽说这样随便使用吸血鬼之力也实在不是一件值得称道的事情(曾经也为此留下了糟糕的回忆),但在如今这个辟谣课里应该也不至于如此吧。

当然,就算至于也没用。

“既然是长官的命令,我也会尽自己所能……不过就算我可以这样,兆间前辈你怎么办?石人的特性里有什么对监视有利的东西吗……”

不爱学习的我对此并不了解。

石人的身体某处刻有文字,那里就是唯一的弱点,我倒是听过一点这样的消息……大概也就知道这么点了。

兆间前辈背对着我,

“说到石人的特征啊,阿良良木警部补。归根结底就是身体的全部都是‘土’,仅此而已。”

说完,再次取出小水瓶。

楼主 星期亿  发布于 2017-03-16 22:03:00 +0800 CST  
006-2

BID 零崎葱识

観測者効果。

観察する行為そのものが、観察対象に影響を与えてしまうというあれか……、超能力の検証なんかにも、適用されるロジックだ。

タネを見破ってやろうという敵対的な姿勢で見られていると、占いは当たらないとか……、『信じる者は救われる』じゃないけれど、いささかオカルト側に都合のいい論理ではあるものの、多少の真実味はある。

新薬どころか、古くからある日にち薬。

いわゆるプラシーボ効果である。

「そう。私とかの場合、怪異の実在を、あるいは不在を、疑ってはいませんけれどね——とは言え、『目撃されていないこと』が『通り魔』の発動条件だとするなら、被害者の高校生達がみんな背中側から切りつけられていることにも、強引ながら一定の説明がつきます」

「つきますね」

目撃者のいない怪異現象なんじゃなくて、目撃者がいないからこそ起きる怪異現象……、だとしたら、張り込み捜査は逆効果になるとも言える。

いや、僕達が見張ることで、『通り魔』事件がストップするんだとすれば、それはそれで効果的なのか?

「ばかちん。私達がいついつまでもこの通学路を見張っていられるわけがないでしよう。噂レベルの怪談を虱潰しにするのが風説課の業務です。一匹の虱を大事に飼ってどうするんですか」

虱を飼うという発想が特許ものだったけれど、それは仰る通り。

目の前のことしか見えないのは、僕の昔からの悪癖だ。

見るべきはこの場合背後であり、背後関係なのである。

「じゃあ、どうするんですか? ばれないように見張るっていっても、やっぱり雑木林くらいしか、隠れる場所が……」

ただ、そこしかないという死角に隠れても、それゆえにそこからの視線など、いのいちにチェックされそうにも思える。

だいたい、こちらからの視線が通るのであれば、向こうからの視線も通るのだ。

深淵を覗くとき、人は深淵から覗かれている。

だっけ?

「死角がなければ死角を作ればいい。阿良々木警部補、私達は死のエキスパートでしょう?」

どうやら兆間先輩は、『何々がいなければ何々になればいい』『何々がなければ何々を作ればいい』という考えかたを好むらしい。僕というパーソナリティのどこをどう探しても見つかりそうもない、ポジティブな発想力だ。

それも、『発想力がなければ、発想力を持てばいい』なのだろうか。

「ここで不死力を発揮せずにどこで発揮するんですか、阿良々木警部補」

「できれば不死力は、どこででも発揮したくないんですけれど……、え、兆間先輩、それはどういうことですか?」

僕達が死のエキスパートである前提と、『通り魔』の目撃者とならんとする目標が、どうしてもうまく繋がって来ない。

このゴーレムは、果たして何を言わんとしているのだ?

「鈍いですね。ですから——そうですね。阿良々木警部補は、あそこに設置されたカーブミラーを利用してください」

「はい?」

「離れた場所から、あの鏡を通して、通学路を見張ってくださいと言っているのです。類まれなる吸血鬼の視力があれば、それくらいはお手のものでしよう?」

ああ——そういうことか。

鏡を通して見張るとなるとまったく簡単ではなさそうだが、しかし確かに、僕の肉体に殘僕る吸血鬼の後遺症は、スコープかしでもロソジの視認が可{此处有漏字}

それに、姿の見えない、姿を見てはならない怪異を、鏡を通して目撃するというのは、神話時代からの伝統だ。

有名なところではメドゥーサがそうだ。

あれは鏡を使って退治した話だっけ?

いずれにしても、扇ちやんがこれ見よがしに千石撫子先生の漫画を読んでいたのは、そういう伏線だったのかもしれない——いや、やっぱりただの当てこすりか。

当たり障りの大好きな扇ちゃんである。

「そう。そして吸血鬼は鏡に映りませんからね。こちらからは見えても、あちらからは見えないというわけです」

したり顔で兆間先輩は、プランの中核を述べたけれど、ごめんなさい、そこには駄目出しをしなければならない。

「すみません、僕、鏡に映るタイプの吸血鬼なんで……」

「なんですって? それくらい根性でどうにかしてください」

根性でどうにかなることなのか?

その昔、鏡に映らなくなったことがあったときは大変だったのに……、まさかその五年後、鏡に映らないための努力をしなくちゃならないとは、なんてことだ。

でもまあ、もしもそれができれば、今回のケースのみならず、今後の研修期間において、かなりの優位性を確保することができるのは間違いなかった——吸血鬼性を便利に使うのはまったく褒められたことではないが (大変な思いをしたのはそのためだ)、しかしこと風説課においては、その限りではなかろう。

むろん、限りはあるにせよ。

「上長からの命令ですから、僕もできるかぎりのことはしてみますけれど……、僕はそれでいいとして、兆間先輩はどうするんですか? 見張りにアドバンテージのあるゴーレムの特徴って、何かありましたっけ……」

不勉強なもので、詳しくない。

ゴーレムのどこかに文字が刻まれていて、その刻印が唯一の弱点、みたいな情報はどこかで聞いたことがあるけれど……、それくらいしか、かの怪異の特徴が思い出せなかった。

そんな僕を後目に、

「ゴーレムの特徴はですね、阿良々木警部補。結局のところ身体のすべてが『土』ってことですよ。それ以外にはありません」

と、兆間先輩は——再び、小さな水筒を取り出した。

楼主 星期亿  发布于 2017-03-16 22:19:00 +0800 CST  
本来应该先日后中来着,抱歉手滑

楼主 星期亿  发布于 2017-03-16 22:20:00 +0800 CST  
007-1
录入 零崎葱识

結論から言わせてもらうと、見張りの成果は上がらなかった。

僕は数百メートル単位で離れた山の中腹から、目を皿のようにしてカーブミラーを注視したし(相当気合いを入れたものの、鏡に姿が映らなかったかどうかはわからなかった。やってみると、やっぱりガッツでどうこうなるものじゃないという気がする)、兆間先輩に至っては、全身土にまみれて、タ暮れまで張り込みを続けたというのに。

全身土にまみれて、どころか。

全身土と化して——続けたというのに。

忍者よろしくの土遁の術——なんてものじゃない、兆間先輩は水筒の水を頭から浴びて、泥の身体を、どろどろにした。

水に対するアプローチが入魚の周防さんと真逆、という話をしたけれど、ある意味では、同じという言いかたもできたのかもしれない。

水分がなければ乾いて、千涸びて、罅割れてしまう彼女の肉体は——『土』体は、なるほど、常時給水の必要があるけれども(それで、壊れた部分を補修することさえできる——不死身)、しかし過剰にそれを補給し続けると、逆に、形状を維持することが難しくなる。

どろどろ——である。

「それでも魂が抜けることはないんですよ。全身、沼みたいになっても、魂は抜けることはないんです——なので、私は雑木林に隠れるのではありません。その真下の、土にまみれるのです」

一敗に地にまみれるのですよ——と、兆間先輩は何食わぬ顔をして言った。

ゴーレムだから何食わぬ顔も当然なのだけれど、しかし僕は、仕事とは、そこまでしなきゃいけないものなのかと、青ざめずにはいられなかった——身を粉にするどころじゃない、兆間先輩は身を泥にしている。

雑木林どころか、彼女は通学路にも『自分』の欠片をばらまいた。

要は、下校する高校生達に、踏みしめられることになる。

守ろうとする子供達に、踏みにじられることになる。

張り込みなんて、ほとんど囮捜査みたいで気が進まないなんて、なんとも甘ったるいことを言った僕だけれど、しかし、下校する生徒はノーリスクどころか、一番大きなリスクを冒しているのは、兆間先輩だった。

無茶苦茶だ。

本人にとってはそれが当たり前なのかもしれないけれど、それが当たり前なことこそ、無茶苦茶なのだ——元に戻れるかどうか、一度ずつが運試しみたいなものだし、仮に痛覚がないのだとしても、そこまで人の形を失って、人の魂に痛みがないとは、とても思えない。

守ろうとする相手に踏まれることが。

苦痛でないわけがない。

「わかりませんよ、兆間先輩。なんであなたがそこまでしなきやいけないんです——僕がちゃんと見張りますから、それでいいにしましょうよ」

「風説の検証に、絶対はありません。ゆえに、ベストを尽くさなければ、自信をもって『虱を潰した』と、断言することができないのです——誤解しないで欲しいんですけれど、阿良々木警部補、これはあなたの目を信頼しないということではありません」

「でも——すみません、こちらこそ、誤解しないで欲しいんです。兆間先輩の信念を否定したいわけじゃありません。労働意識の高さは、見習わせて欲しいと思います。心から思います。だけど、ものには限度がある」

当然、この『後輩からの反逆』にあたって、念頭にあったのは高校時代の同級生、羽川翼のことだ——あの春休みから年を重ねれば重ねるほど、あいつがあのとき僕にしてくれたことが、どれほど取り返しのつかないことだったかを思い知る。

その後、悪夢を経て、あいつの生きかたは変わった。

羽川も、もうあのときの羽川ではない。

それでも、今もなお、彼女は博愛的に生きている——常軌を逸して。

進路が分かれて、もう僕には、羽川を止めるすべはない。

だからこそ、少しでも羽川を想起させるものを見ると、僕は誰彼かまわず止めたくなってしまう——そして兆間先輩が想起させるのは、『少し』なんてものじゃなかった。

ある意味で羽川よりも、身を投げ打っている。

今から思えば、周防さんにもその傾向はあったが……。

(是的,这句又缺了)「世間と撃がつていらことが、私逹にとつてけ重要なくですと、阿良々木警部補(缺漏)まくつけこんでいるんです——これまでひた隠しにしてきた己のプロフィールを、人助けや正義のために使えることは、最高に嬉しいと思いませんか?」

正義とは何かなんて問わないでくださいね、と言って議論を強引に打ち切り、そのあとは有無を言わさず、兆間先輩は張り込みの準備に入った……、具体的にはジャケットを脱いだ。靴まで含めて全部脱いだ。

ああ、そうだとも。

僕はまた、知り合ったばかりの女性の半裸を見る運命にとらわれたわけだ。この定めは、いずれ僕を破滅に導くだろうから、どこかで決着をつけねばならないだろうが、まあ、兆間先輩も、身を土にまみれさせても、ブランドもののジャケットやシルクのストッキングや特注のローフアーを汚すのは、我慢ならなかったらしい。

楼主 星期亿  发布于 2017-03-28 22:03:00 +0800 CST  
007-2

录入 零崎葱识


どうやらその辺に、彼女の公私の線引きがあるようだ。

まあいきなり脱がれることには慣れっこだとしても、その線引きができるのであれば、新入りの後輩が力ずくで止めるのはまだ早いのだろうと、僕は自制するしかなかった。

僕にできることは、彼女と同じくらいの真剣さで、はるか離れた場所からカーブミラーを見守ることだけだった。

それは同時に、薄っペらい泥と化して、さながらカーペットみたいに通学路に敷き詰められた彼女の無事(そんな姿になっている時点で、無事も何もないが)を見守る仕事だったので、否が応でも身が入った。

高校生が通学路を通るたびに、彼らが切りつけられるんじゃないかと思いつつ、同時に彼らの足元にも目がいってしまい、そんなわけで、僕は気が気じやない時間を過ごしたのだけれど、

「少しは見直したわい」

と、ぼつりとそんな声が影から聞こえたので、忍はどうやら、ゴーレムの捜査法を気に入ったらしかった——生憎、助言をくれるほどではなかったけれど。

僕が言われるがままの下働きをするのは、そうも気に食わないか。

なんとも忠誠心の厚い従僕である。

それだけに、何の成果も上がらなかったことが残念でならない——『通り魔』の現行犯逮捕はならなかったし、それらしい現象も起きなかった。下校時刻も過ぎて辺りは真っ暗になり、通学路から人気は一切消えた。

僕は駆け足で現場に戻って、地面に向かって、「大丈夫ですか? 兆間先輩」と問いかけた。

「大丈夫ですよ。何の問題もありません。申し訳ありませんが、預けておいた水筒で辺りを濡らしてから、ざっとでいいですから私のパーツをかき集めてください、阿良々木警部補。まさかその歳で泥んこ遊びをするとは思わなかったでしょうけれど、それも仕事です」

仕事かな、これが。

そう思ったけれど、反論せずに言われた通りにすると、ぐちゃぐちやの泥が自律的に寄り集まり、さながら形状記憶合金か何かのように、組み上がっていく。

「張り込みが見つからなかった自信はあります……、絶対の自信を持って断言できます。妖怪らしさの片鱗さえありませんでした。だとすると、怪異現象ではないのかもしれませんね」

いったいどこから喋っているのか、土全体が振動することでスピーカーみたいに音を発しているのか、未だただの土くれでしかない状態で、兆間先輩はそんな分析をする。

「僕の感想も同じです。でも、だとすると、犯人は……、リアルな『通り魔』はいったい、どうやって誰にも気付かれずに、高校生の背中を切りつけたんでしよう?」

達人がいるのだろうか。

だとすると、僕や兆間先輩ではなく、みとめさんにお出まし願わねばならないような状況だけれど……、ん? いや、待てよ? そうじゃない。疑問を持つべきは、そこじやない。 どうやって誰にも気付かれずに——じゃない。

それは犯人側の視点だ。あるいは見張る側の視点だ。

もしも怪異現象だとすれば、究極的にはそんなの、なんでもありだ——妖刀のことはさておいても、全盛期の忍だったなら、相手に気付かれることなく、制服どころか素っ首を叩っ切ることだってできるだろう。

だから考えるべきは、どうやって気付かれずに——ではない。

どうして気付いたか、だ。

被害者の高校生達は、切られたときは気付かなかったのに、切られたあとで、なぜ気付いた? 真冬だったらともかく、まだ今はいい季節なのに——どんなきっかはがあれげ?

切られるとき以外に、気付けるか?

吸血鬼の視力があったって、自分の背中は見えないぞ?

周りの人に教えられた? 違う、被害者はみんな、ひとりで下校していたんだ。だったら……。

「よしよし。だいたい、形成できました。阿良々木警部補、服を返してください」

「あ、はい。どうぞ」

フォルムこそ形成されても、まだ表層部は泥のままだったので、まんまフィギュアの原型みたいだった。

吸血鬼の肉体再生のようなグロさはないけれど、より無骨な印象がある——そりゃそうか、フィギュアに骨はない。ぎこちなく動く腕で服を受け取った兆間先輩は、そのままよたよたと、カーブミラーのほうへと向かう。

その姿のままで大通りに近付くのは危険という気もするが (別の怪異譚が生まれてしまう)、顔や髪型など、細かい造形は化粧直しと同じで、鏡を見ながらでないとできないのかもしれない——そうでなくとも、服を着たら、姿見で確認したくなるものなのか。肉体はゴーレムでも、魂は女性だ。

ゴーレムは鏡に映ってよかった——それに、カーブミラーは向かい合わせになる位置にふたつ設置されているから、あれなら後頭部のセットも容易で……。

向かい合わせの鏡?

——ならばその驚きが答です。

——私は阿良々木先輩の鏡ですから。

「……きみこそ後輩の鑑だよ、扇ちゃん」

僕は呟いた。

扇ちゃんは、だって、すんなりと答を教えてくれていたのだ。

大して謎めかしもしていなかった。

それは裏を返せば、彼女にとってもう僕は、それほど本気でからかいたい相手じゃなくなっているという、決別の証でもあったけれど——それもまた、彼女のありかただった。

向かい合わせの鏡——合わせ鏡。

後頭部が見えるなら——そりゃあ背中だって見えるだろう。

そう。

この真相は、『僕が知っていること』だった。

「兆間先輩。少しいいでしようか」

セッティング中の兆間先輩に、僕は呼びかけた。扇ちゃんを見習って。

「こういう言いかたをすると、実に愚かしいんですが——」

楼主 星期亿  发布于 2017-03-28 22:05:00 +0800 CST  

楼主:星期亿

字数:103663

发表时间:2017-02-04 07:53:00 +0800 CST

更新时间:2020-10-08 18:37:34 +0800 CST

评论数:315条评论

帖子来源:百度贴吧  访问原帖

 

热门帖子

随机列表

大家在看