「自译\/官方短篇」After Stories(《吠舞罗》篇)
1L惯例给主角w
这次是吠舞罗全员篇,别名《安娜养成计划》《男人心海底针》《论五安/那娜在吠舞罗推行的可能性》《八田你不要动不动就秀你有伏见好吗而且还委婉的说什么诀别多年的亲友直接叫猿比古不就行了吗混蛋别突然塞我狗粮啊》——大致如此。
依旧是在正文之后会放出原文和官网链接w有兴趣可以看看日文原文啃啃生肉w
这次是吠舞罗全员篇,别名《安娜养成计划》《男人心海底针》《论五安/那娜在吠舞罗推行的可能性》《八田你不要动不动就秀你有伏见好吗而且还委婉的说什么诀别多年的亲友直接叫猿比古不就行了吗混蛋别突然塞我狗粮啊》——大致如此。
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《吠舞罗》篇
著 铃木铃
“打扰了,诶,哦哦?”
“欸?今天,难道有什么聚会吗?”
刚走进酒吧HOMURA,八田美咲先膛目结舌了一番,随即镰本力夫发出了不可思议的声音。
《吠舞罗》的所有主要成员,全员都聚集在了一起。坐在沙发上的赤城和坂东,在柜台前闲聊的千岁和出羽,以及看着手机的艾力克和摆弄着八毫米相机的藤岛,纷纷回应着两人的招呼。
像这样全员集合在一起是非常罕见的。毕竟大家各自都有着各自的生活。
“不,倒不是什么特别的日子啦,只是偶尔聚集在一起了”
赤城略带害羞的笑着这么说道,其他人也纷纷点头。
听到这番回答,八田不由的开心了起来。
因为在“那件事”之后,《吠舞罗》还确实的,在这里存在着。
“是嘛是嘛!嘛啊那就悠闲的多待一会儿吧!”
“笨蛋。这又不是你的店。”
发出无奈的吐槽的,是在柜台对面做准备的酒吧吧主・草薙出云。八田一边元气满满的回答了声“明白!”,坐在了椅子上,随即环视起四周。
著 铃木铃
“打扰了,诶,哦哦?”
“欸?今天,难道有什么聚会吗?”
刚走进酒吧HOMURA,八田美咲先膛目结舌了一番,随即镰本力夫发出了不可思议的声音。
《吠舞罗》的所有主要成员,全员都聚集在了一起。坐在沙发上的赤城和坂东,在柜台前闲聊的千岁和出羽,以及看着手机的艾力克和摆弄着八毫米相机的藤岛,纷纷回应着两人的招呼。
像这样全员集合在一起是非常罕见的。毕竟大家各自都有着各自的生活。
“不,倒不是什么特别的日子啦,只是偶尔聚集在一起了”
赤城略带害羞的笑着这么说道,其他人也纷纷点头。
听到这番回答,八田不由的开心了起来。
因为在“那件事”之后,《吠舞罗》还确实的,在这里存在着。
“是嘛是嘛!嘛啊那就悠闲的多待一会儿吧!”
“笨蛋。这又不是你的店。”
发出无奈的吐槽的,是在柜台对面做准备的酒吧吧主・草薙出云。八田一边元气满满的回答了声“明白!”,坐在了椅子上,随即环视起四周。
“安娜在二楼吗?”
“她出门了。”
“呃——”
没问题吗,刚想这么问,八田又立刻闭上了嘴。
说什么没问题啊,现在已经没有想要加害安娜的势力了。即使有谁抱有害意,安娜她也毫无疑问是正统的《赤之王》。肯定能自己保护自己的吧。
八田的嘴歪成了微妙的形状,用拳头“Pon、Pon”的扣着自己的太阳穴。
草薙一边单手夹着点燃的香烟,微微笑了。
“什么啊,很担心吗?小八田也是保护意识过头了啊”
“才、才不是那样!只是,那个,该说是不习惯呢——”
这么一想,和安娜相遇至今,几乎没有让她一人出门这种事的发生。安娜依性格本来就喜欢室内,外出时也大多会有谁跟在身边。
看着思考中的八田,草薙无奈的耸了耸肩。
“你要是不习惯那可就困扰了啊。毕竟安娜明年春天就是中学生了”
安娜是,中学生——。
虽说他是知道这件事的,但一想到这个事实,八田便说不出话来,陷入了沉思之中。
在《吠舞罗》里,几乎没有人像安娜这样度过了如此轰轰荡荡的人生吧。由于石板带来的各种各样的麻烦,导致她一直持续着和学校无缘的人生。虽然她从草薙等人那里接受了教育,八田依旧很难想象安娜和同龄的孩子们一同上学的景象。
但,几个月之后,这就要成为现实了。
石板毁灭的同时,安娜也就没有不去上学的理由了。依靠草薙的手段他们让安娜进入了附近的中学,安娜也没怎么提出反对意见。
但是。
“……安娜成为初中生吗……”
八田轻声喃喃的自言自语,格外响亮的回荡在酒吧中。
不经意间环视四周,所有人都和八田露出了同样的表情。稍稍垂着头,一脸仿佛陷入了沉思般,又或是说单纯只是在担心的表情,偷偷地交流道。
“安娜是……”“中学生……?”“没、没问题吗”“什么啊”“所以说,你想啊”“毕竟至今为止都没去过学校吧”“能习惯吗”“能交到朋友吗?”“安娜可是很抢眼的啊”“该不会,会、会被欺负什么的——!”
八田猛地站起身,任由愤怒驱使狠狠的一拳砸上了吧台。
“哈啊?!欺负安娜?!哪家死小鬼啊给我滚出来——好疼!?”
他的头顶,结结实实挨了草薙一拳。
斜睨了一眼蹲在一边的八田,草薙就着烟灰缸弹了弹烟灰,
“我说啊,你们,就冷静下来好好想一想啊。安娜看起来像是会是被那种小鬼欺负的人吗?”
那倒也是。安娜可是《赤之王》。虽说石板毁灭,达摩克利斯之剑已无法显现,但若只是那种抱团而上的暴力团伙的话,她也依旧拥有着能独自一人歼灭掉他们的战斗力。更何况区区初中生,恐怕全校的学生团结一致都敌不过她吧——我们说的是这个问题吗?他们不禁这么想到。
于是,镰本像是要缓和气氛般说道。
“就、就是啦!安娜虽然很沉默寡言,但是她又温柔,又聪明,又胆大。被欺负什么的不可能的啦,她也会立刻交到朋友的吧!”
多亏这一番话,安心感终于慢慢的在酒吧中扩散开。大家的表情都渐渐开朗起来,时不时能听到“嗯嗯”“就是啊”这类低语。
千岁情绪不错的,用开朗的声音说道。
“没错没错!更何况安娜很可爱啊!肯定立刻会成为班级红人的啦。然后,那时候再顺势交个男朋友……然后……”
安娜,交男朋友——。
虽说这也是有可能的事情,但这个事实再次让八田说不出话来,陷入了沉思之中。
而周围的众人也(包括说这翻话的千岁本人),都和八田一样被这个可能性打击到,纷纷或狼狈、或是露出仿若看到了这个世界终结般的表情陷入了消沉之中。
草薙彻底傻眼的看着那一群笨蛋,叼了一根烟,一边呼出烟雾一边说道。
“我说,你们啊——”
“就、就是啦!安娜虽然很沉默寡言,但是她又温柔,又聪明,又胆大。被欺负什么的不可能的啦,她也会立刻交到朋友的吧!”
多亏这一番话,安心感终于慢慢的在酒吧中扩散开。大家的表情都渐渐开朗起来,时不时能听到“嗯嗯”“就是啊”这类低语。
千岁情绪不错的,用开朗的声音说道。
“没错没错!更何况安娜很可爱啊!肯定立刻会成为班级红人的啦。然后,那时候再顺势交个男朋友……然后……”
安娜,交男朋友——。
虽说这也是有可能的事情,但这个事实再次让八田说不出话来,陷入了沉思之中。
而周围的众人也(包括说这翻话的千岁本人),都和八田一样被这个可能性打击到,纷纷或狼狈、或是露出仿若看到了这个世界终结般的表情陷入了消沉之中。
草薙彻底傻眼的看着那一群笨蛋,叼了一根烟,一边呼出烟雾一边说道。
“我说,你们啊——”
就在那时,酒吧的大门打开了。
“我回来了”
是安娜。
感受到酒吧那仿佛冻结了般的僵硬气氛,安娜露出了不可思议的表情眨了眨眼。在判断“笨蛋们的笨蛋谈话不需要一一告知她”后,草薙露出了一如既往的温和微笑,轻快的举起单手。
“哦,欢迎回来。记住上学的路线了吗?”
“恩”
安娜坐到自己专用的座位上。草薙仔细观察着安娜的表情,略带意外的问道。
“感觉你的表情很明快呢,看到什么有趣的东西吗?”
被这么回问道,安娜点了点头,稍稍想了一会儿后说道。
“遇到了一个,认识的男孩子”
……。
“还想,和他再多聊聊”
八田环顾酒吧。
所有人都张大嘴巴。
在那之中,只有冷静的草薙一个人,摁灭了香烟后,又取出了一根新的香烟,然后想要点上火。
“是、是是是、是吗?是怎怎、怎么、怎么样的男孩子啊——”
“草薙先生香烟香烟香烟你拿反了那边是滤嘴是点不燃的啦!”
“我回来了”
是安娜。
感受到酒吧那仿佛冻结了般的僵硬气氛,安娜露出了不可思议的表情眨了眨眼。在判断“笨蛋们的笨蛋谈话不需要一一告知她”后,草薙露出了一如既往的温和微笑,轻快的举起单手。
“哦,欢迎回来。记住上学的路线了吗?”
“恩”
安娜坐到自己专用的座位上。草薙仔细观察着安娜的表情,略带意外的问道。
“感觉你的表情很明快呢,看到什么有趣的东西吗?”
被这么回问道,安娜点了点头,稍稍想了一会儿后说道。
“遇到了一个,认识的男孩子”
……。
“还想,和他再多聊聊”
八田环顾酒吧。
所有人都张大嘴巴。
在那之中,只有冷静的草薙一个人,摁灭了香烟后,又取出了一根新的香烟,然后想要点上火。
“是、是是是、是吗?是怎怎、怎么、怎么样的男孩子啊——”
“草薙先生香烟香烟香烟你拿反了那边是滤嘴是点不燃的啦!”
镰本慌慌张张的制止了颤颤发抖、显露出动摇之情的草薙。
安娜不明所以的微微歪了歪头,向八田询问道。
“怎么了吗?”
那姿态和平常的安娜没有任何不同,八田松了口气般笑道。
“没什么啊”
若说自己也没有动摇,那是谎话,虽然也很想立刻质问那个男孩子是怎样的家伙,但八田还是忍住了这股冲动。
现在正不断发生着至今为止都未曾遭遇的事情。这也是自然的,八田想。因为时间在流逝。石板破灭,自己的力量也总有一天会彻底消失,随即大家便会的逐渐不再来访这个酒吧了吧。但是,从另一方面来说,八田也再度和过去诀别的好友和解,而安娜也走向了比从前更为开阔的世界——。
一切都在变化。
但是,也有不变的事物。
“说起来啊!难得所有人都凑齐了,大家拍张照片吧!”
大家露出惊讶的表情,一同望向忽然这么高声提议的八田。但,除了安娜之外,其他所有人,都一心想着“把这个话题放到之后再说吧”,异口同声的答应了。
“好嘞!那么,镰本!设定时间就交给你了!”
“明白!”
虽然一切都在改变,但是他们现在就在这里,这么欢笑着的事实,是绝对不会改变的。即使有一天这些日子变成了过去,但过去也绝不会改变。
这么想着,八田向镰本拿着的相机,露出了最灿烂的笑容。
这一张照片,装饰在了酒吧的软木板上。这片和周防与十束,以及过去曾在这里的伏见,相同的地方。
安娜不明所以的微微歪了歪头,向八田询问道。
“怎么了吗?”
那姿态和平常的安娜没有任何不同,八田松了口气般笑道。
“没什么啊”
若说自己也没有动摇,那是谎话,虽然也很想立刻质问那个男孩子是怎样的家伙,但八田还是忍住了这股冲动。
现在正不断发生着至今为止都未曾遭遇的事情。这也是自然的,八田想。因为时间在流逝。石板破灭,自己的力量也总有一天会彻底消失,随即大家便会的逐渐不再来访这个酒吧了吧。但是,从另一方面来说,八田也再度和过去诀别的好友和解,而安娜也走向了比从前更为开阔的世界——。
一切都在变化。
但是,也有不变的事物。
“说起来啊!难得所有人都凑齐了,大家拍张照片吧!”
大家露出惊讶的表情,一同望向忽然这么高声提议的八田。但,除了安娜之外,其他所有人,都一心想着“把这个话题放到之后再说吧”,异口同声的答应了。
“好嘞!那么,镰本!设定时间就交给你了!”
“明白!”
虽然一切都在改变,但是他们现在就在这里,这么欢笑着的事实,是绝对不会改变的。即使有一天这些日子变成了过去,但过去也绝不会改变。
这么想着,八田向镰本拿着的相机,露出了最灿烂的笑容。
这一张照片,装饰在了酒吧的软木板上。这片和周防与十束,以及过去曾在这里的伏见,相同的地方。
——END——
就是一个笨蛋们的故事吧w
吠舞罗毕竟很家庭风嘛w而且领头的还是看起来很聪明其实智商很容易掉线的草薙,感觉相当欢脱w
本文我个人猜测应该是接着上一篇安娜和须久那篇后。
安娜说的“遇到了认识的男孩子”我想应该就是须久那——一瞬间吠舞罗的大家都吃下了那娜这个CP的感觉w
八田的内心思考又让我狠狠的咬了一口伏八粮。翻译到一半,猝不及防。
但整体相当的开心w希望看完这篇短篇后大家也能够感受到赤的温暖感w
接下来是原文
就是一个笨蛋们的故事吧w
吠舞罗毕竟很家庭风嘛w而且领头的还是看起来很聪明其实智商很容易掉线的草薙,感觉相当欢脱w
本文我个人猜测应该是接着上一篇安娜和须久那篇后。
安娜说的“遇到了认识的男孩子”我想应该就是须久那——一瞬间吠舞罗的大家都吃下了那娜这个CP的感觉w
八田的内心思考又让我狠狠的咬了一口伏八粮。翻译到一半,猝不及防。
但整体相当的开心w希望看完这篇短篇后大家也能够感受到赤的温暖感w
接下来是原文
《吠舞罗》
著 鈴木鈴
「ちーっす――、って、おお?」
「あれ? 今日って、なんかの集まりか?」
バーHOMRAに足を踏み入れて、八田美咲はまず目を瞠り、鎌本力夫は不思議そうな声をあげた。
《吠舞羅》の主要メンツが、全員揃っていたのだ。ソファに座る赤城と坂東、カウンターで駄弁っていた千歳と出羽、スマホを覗き込んでいたエリックと8ミリカメラを弄っていた藤島が、それぞれの挨拶を二人に返した。
こうして全員が揃うことは稀であった。それぞれには、それぞれの生活というものがあるからだ。
「や、別になんの日でもないですけど、たまたま集まっちゃったんですよね」
赤城が照れたように笑いながらそう言い、他のメンツも頷く。
八田はそれを聞いて、なんとなく嬉しくなった。
『あの事件』のあとも、《吠舞羅》はまだ、確かにここにあると思えたからだ。
「そっかそっか! まあゆっくりしてけよ!」
「アホ。おまえの店ちゃうやろ」
呆れたように突っ込んだのは、カウンターの向こうで仕込みをしているバーの主・草薙出雲だ。「うっす!」と元気よく返しながら、八田はスツールに腰かけ、それから周囲を見渡した。
「アンナは二階すか?」
「外出しとるで」
「えっ――」
大丈夫なんすか、と言おうとして、八田は口を噤む。
大丈夫もなにも、今やアンナに危害を加えるような勢力はどこにも存在しない。仮に害意を抱くものがいたとしても、彼女はれっきとした《赤の王》なのだ。自分の身は自分で守れるだろう。
八田は唇を微妙な形に歪ませ、拳でごんごんと自らのこめかみを叩いた。
草薙は火の付いたタバコを片手にしながら、にやりと笑う。
「なんや、心配なんか? 八田ちゃんも過保護やな」
「そ、そんなんじゃないっすよ! ただ、その、慣れないっていうか――」
思えばアンナと出会ってから今に至るまで、彼女がひとりきりで外に出るということは、ほとんどなかったはずだ。基本的に室内を好む性格だし、外に出るときも誰かについていく、ということのほうが多かったように思う。
そんなふうに考える八田に、草薙は呆れて肩をすくめる。
「慣れてもらわんと困るな。アンナも次の春から中学生なんやし」
アンナが、中学生――。 わかっていたこととはいえ、その事実に八田は絶句し、物思いに沈んだ。
《吠舞羅》の中で、アンナほど壮絶な人生を送ってきた人間はほとんどいないだろう。石盤がもたらしたさまざまな事情によって、彼女は学校とは縁のない人生を歩んできた。草薙たちの手で教育こそ受けてきたものの、アンナが同い年の子供たちに混じって通学する――という絵面は、なかなか想像しがたいものがあった。
が、もう数ヶ月もしないうちに、それは現実のものとなる。
石盤が消滅すると同時に、アンナが学校に通わない理由も消えてなくなった。草薙のツテで近所の中学校に入学することになり、アンナも特に異は唱えなかったという。
しかし。
「……アンナが、中学生か……」
ぼそりとつぶやいた独り言は、やけに大きくバーの中に響いた。
ふと気づいて周囲を見回すと、全員が八田と同じような顔をしていた。ややうつむき、物思いにふけるような、あるいは単純に心配するような表情で、ひそひそと会話を交わしている。
「アンナが……」「中学生……?」「だ、大丈夫なのかな」「なにが」「だから、ほら」「今まで学校に行ったことないわけだろ」「馴染めんのかな」「友達、できるかな?」「アンナ結構目立つもんな」「まさかとは思うけど、い、イジメとか――!」
八田はいきり立ち、怒りにまかせてカウンターに拳をたたき込んだ。
「はあ!? アンナをイジメるだ!? どこのガキだ出てきやがれ――、あだっ!?」
その脳天に、草薙は拳をたたき込んだ。
うずくまった八田を尻目に、草薙はタバコの灰を灰皿に落とし、
「あのなあ、おまえら、落ち着いてよう考えてみろ。アンナがその辺のガキにイジメられるようなタマか?」
そりゃそうだ。アンナは《赤の王》なのだ。石盤が消滅し、ダモクレスの剣が現れなくなったとはいえ、その辺に転がる暴力団風情なら単独でシメられるくらいの戦力を有している。中学生ごとき、全校生徒が束になっても敵わないだろう――そういう問題か? という気もするが。
と、鎌本が、場を和ませるように言う。
「そ、そうっすよ! アンナは無口だけど、優しいし、頭良いし、肝っ玉も据わってる。イジメなんてもちろん、友達もすぐできますって!」
その言葉に、安堵がじわりとバーの中に広がっていく。それぞれの表情が明るくなり、「うんうん」「そうだよな」というつぶやきが聞こえる。
千歳が調子よく、明るい声をあげた。
「そうそう! なにより可愛いしな! きっとすぐにクラスの人気者になるさ。そんで、そのうち彼氏とかできて……そんで……」
アンナに、彼氏――。
ありうべきこととはいえ、その事実に八田は絶句し、物思いに沈んだ。 そして周りの連中も(言った本人の千歳ですら)、八田と同じようにその可能性に打ちのめされ、おろおろと狼狽したり、この世の終わりのような顔でふさぎ込んだりしていた。
草薙はそんな連中を、呆れ果てた表情で見渡して、タバコをくわえ、煙を吐き出しながら言った。
「あのな、おまえらな――」
そのとき、バーの扉が開いた。
「ただいま」
アンナだった。
びしりと凍り付いたバーの空気に、アンナは不思議そうにまばたきをした。アホどものアホ会話など伝える必要はないと判断したか、草薙はいつも通りの温かい微笑みを浮かべ、軽く片手を上げる。
「おう、おかえり。通学路、ちゃんと覚えられたか?」
「うん」
アンナは自分用のスツールに腰かける。草薙は、そんなアンナの表情を窺って、意外そうに尋ねた。
「なんか明るい顔しとるけど、おもろいもんでもあったか?」
問い返されて、アンナは頷き、少し考えてから言った。
「知り合いの、男の子に会った」
……。
「また、話したいと思った」
八田はバーの中を見回した。
全員の口が開いていた。
その中で、ただひとり冷静な草薙だけが、タバコをもみ消し、また新たなタバコを取り出して、それに火をつけようとした。
「そっ、そそそ、そうなんか? どど、どんな、どんな男の子や――」
「草薙さんタバコタバコタバコ逆ですそっちフィルターっす火つかないっす!」
ぶるぶる震えながら動揺を露わにする草薙を、鎌本が慌てて制止する。
アンナはあどけなく首をかしげ、八田に向かって尋ねた。
「どうしたの?」
その仕草は普段のアンナとなにも変わらなくて、八田は息を抜くようにして笑った。
「なんでもねえよ」
自分にも動揺がないと言えば嘘になるし、その男の子はどんな奴だと問いただしたくなる気持ちももちろんあったが、八田はそれをぐっと我慢した。
今までにはないことが起きている。当たり前だ、と八田は思う。時間は流れているのだから。石盤は消え、自分たちの力もいずれ消え、やがてはひとり二人と、このバーに訪れなくなる日がくるのだろう。だが、その一方で、八田はかつて訣別した親友と再び理解を交わし合い、アンナは今までよりももっと開けた世界に出て行こうとしている――。
なにもかもは変わっていく。 でも、変わらないものもある。
「ところでさ! 久々に全員揃ったことだし、写真撮ろうぜ!」
不意に声を張り上げた八田を、一同はびっくりしたように見た。が、アンナを除く全員が、とりあえずこの話題を保留したいという一念だけで、口々に同意を返した。
「うっし! そんじゃ、鎌本! タイマーよろしく頼むわ!」
「うぃっす!」
なにもかもは変わっていくけれど、自分たちが今ここにいて、こうして笑っているという事実は、決して変わることはない。この日々が過去になる日が来ても、過去が変わることは決してないのだから。
そんなことを思いながら、八田は鎌本が構えるカメラに向けて、とびきりの笑顔を向けた。
その一枚は、バーのコルクボードに飾られることになった。周防や十束、かつてここにいたときの伏見と、同じ場所に。
原文地址:http://k-poject-come-back.jpn.com/after_stories/
著 鈴木鈴
「ちーっす――、って、おお?」
「あれ? 今日って、なんかの集まりか?」
バーHOMRAに足を踏み入れて、八田美咲はまず目を瞠り、鎌本力夫は不思議そうな声をあげた。
《吠舞羅》の主要メンツが、全員揃っていたのだ。ソファに座る赤城と坂東、カウンターで駄弁っていた千歳と出羽、スマホを覗き込んでいたエリックと8ミリカメラを弄っていた藤島が、それぞれの挨拶を二人に返した。
こうして全員が揃うことは稀であった。それぞれには、それぞれの生活というものがあるからだ。
「や、別になんの日でもないですけど、たまたま集まっちゃったんですよね」
赤城が照れたように笑いながらそう言い、他のメンツも頷く。
八田はそれを聞いて、なんとなく嬉しくなった。
『あの事件』のあとも、《吠舞羅》はまだ、確かにここにあると思えたからだ。
「そっかそっか! まあゆっくりしてけよ!」
「アホ。おまえの店ちゃうやろ」
呆れたように突っ込んだのは、カウンターの向こうで仕込みをしているバーの主・草薙出雲だ。「うっす!」と元気よく返しながら、八田はスツールに腰かけ、それから周囲を見渡した。
「アンナは二階すか?」
「外出しとるで」
「えっ――」
大丈夫なんすか、と言おうとして、八田は口を噤む。
大丈夫もなにも、今やアンナに危害を加えるような勢力はどこにも存在しない。仮に害意を抱くものがいたとしても、彼女はれっきとした《赤の王》なのだ。自分の身は自分で守れるだろう。
八田は唇を微妙な形に歪ませ、拳でごんごんと自らのこめかみを叩いた。
草薙は火の付いたタバコを片手にしながら、にやりと笑う。
「なんや、心配なんか? 八田ちゃんも過保護やな」
「そ、そんなんじゃないっすよ! ただ、その、慣れないっていうか――」
思えばアンナと出会ってから今に至るまで、彼女がひとりきりで外に出るということは、ほとんどなかったはずだ。基本的に室内を好む性格だし、外に出るときも誰かについていく、ということのほうが多かったように思う。
そんなふうに考える八田に、草薙は呆れて肩をすくめる。
「慣れてもらわんと困るな。アンナも次の春から中学生なんやし」
アンナが、中学生――。 わかっていたこととはいえ、その事実に八田は絶句し、物思いに沈んだ。
《吠舞羅》の中で、アンナほど壮絶な人生を送ってきた人間はほとんどいないだろう。石盤がもたらしたさまざまな事情によって、彼女は学校とは縁のない人生を歩んできた。草薙たちの手で教育こそ受けてきたものの、アンナが同い年の子供たちに混じって通学する――という絵面は、なかなか想像しがたいものがあった。
が、もう数ヶ月もしないうちに、それは現実のものとなる。
石盤が消滅すると同時に、アンナが学校に通わない理由も消えてなくなった。草薙のツテで近所の中学校に入学することになり、アンナも特に異は唱えなかったという。
しかし。
「……アンナが、中学生か……」
ぼそりとつぶやいた独り言は、やけに大きくバーの中に響いた。
ふと気づいて周囲を見回すと、全員が八田と同じような顔をしていた。ややうつむき、物思いにふけるような、あるいは単純に心配するような表情で、ひそひそと会話を交わしている。
「アンナが……」「中学生……?」「だ、大丈夫なのかな」「なにが」「だから、ほら」「今まで学校に行ったことないわけだろ」「馴染めんのかな」「友達、できるかな?」「アンナ結構目立つもんな」「まさかとは思うけど、い、イジメとか――!」
八田はいきり立ち、怒りにまかせてカウンターに拳をたたき込んだ。
「はあ!? アンナをイジメるだ!? どこのガキだ出てきやがれ――、あだっ!?」
その脳天に、草薙は拳をたたき込んだ。
うずくまった八田を尻目に、草薙はタバコの灰を灰皿に落とし、
「あのなあ、おまえら、落ち着いてよう考えてみろ。アンナがその辺のガキにイジメられるようなタマか?」
そりゃそうだ。アンナは《赤の王》なのだ。石盤が消滅し、ダモクレスの剣が現れなくなったとはいえ、その辺に転がる暴力団風情なら単独でシメられるくらいの戦力を有している。中学生ごとき、全校生徒が束になっても敵わないだろう――そういう問題か? という気もするが。
と、鎌本が、場を和ませるように言う。
「そ、そうっすよ! アンナは無口だけど、優しいし、頭良いし、肝っ玉も据わってる。イジメなんてもちろん、友達もすぐできますって!」
その言葉に、安堵がじわりとバーの中に広がっていく。それぞれの表情が明るくなり、「うんうん」「そうだよな」というつぶやきが聞こえる。
千歳が調子よく、明るい声をあげた。
「そうそう! なにより可愛いしな! きっとすぐにクラスの人気者になるさ。そんで、そのうち彼氏とかできて……そんで……」
アンナに、彼氏――。
ありうべきこととはいえ、その事実に八田は絶句し、物思いに沈んだ。 そして周りの連中も(言った本人の千歳ですら)、八田と同じようにその可能性に打ちのめされ、おろおろと狼狽したり、この世の終わりのような顔でふさぎ込んだりしていた。
草薙はそんな連中を、呆れ果てた表情で見渡して、タバコをくわえ、煙を吐き出しながら言った。
「あのな、おまえらな――」
そのとき、バーの扉が開いた。
「ただいま」
アンナだった。
びしりと凍り付いたバーの空気に、アンナは不思議そうにまばたきをした。アホどものアホ会話など伝える必要はないと判断したか、草薙はいつも通りの温かい微笑みを浮かべ、軽く片手を上げる。
「おう、おかえり。通学路、ちゃんと覚えられたか?」
「うん」
アンナは自分用のスツールに腰かける。草薙は、そんなアンナの表情を窺って、意外そうに尋ねた。
「なんか明るい顔しとるけど、おもろいもんでもあったか?」
問い返されて、アンナは頷き、少し考えてから言った。
「知り合いの、男の子に会った」
……。
「また、話したいと思った」
八田はバーの中を見回した。
全員の口が開いていた。
その中で、ただひとり冷静な草薙だけが、タバコをもみ消し、また新たなタバコを取り出して、それに火をつけようとした。
「そっ、そそそ、そうなんか? どど、どんな、どんな男の子や――」
「草薙さんタバコタバコタバコ逆ですそっちフィルターっす火つかないっす!」
ぶるぶる震えながら動揺を露わにする草薙を、鎌本が慌てて制止する。
アンナはあどけなく首をかしげ、八田に向かって尋ねた。
「どうしたの?」
その仕草は普段のアンナとなにも変わらなくて、八田は息を抜くようにして笑った。
「なんでもねえよ」
自分にも動揺がないと言えば嘘になるし、その男の子はどんな奴だと問いただしたくなる気持ちももちろんあったが、八田はそれをぐっと我慢した。
今までにはないことが起きている。当たり前だ、と八田は思う。時間は流れているのだから。石盤は消え、自分たちの力もいずれ消え、やがてはひとり二人と、このバーに訪れなくなる日がくるのだろう。だが、その一方で、八田はかつて訣別した親友と再び理解を交わし合い、アンナは今までよりももっと開けた世界に出て行こうとしている――。
なにもかもは変わっていく。 でも、変わらないものもある。
「ところでさ! 久々に全員揃ったことだし、写真撮ろうぜ!」
不意に声を張り上げた八田を、一同はびっくりしたように見た。が、アンナを除く全員が、とりあえずこの話題を保留したいという一念だけで、口々に同意を返した。
「うっし! そんじゃ、鎌本! タイマーよろしく頼むわ!」
「うぃっす!」
なにもかもは変わっていくけれど、自分たちが今ここにいて、こうして笑っているという事実は、決して変わることはない。この日々が過去になる日が来ても、過去が変わることは決してないのだから。
そんなことを思いながら、八田は鎌本が構えるカメラに向けて、とびきりの笑顔を向けた。
その一枚は、バーのコルクボードに飾られることになった。周防や十束、かつてここにいたときの伏見と、同じ場所に。
原文地址:http://k-poject-come-back.jpn.com/after_stories/